道7

2013/06/22

さすがに、連続はきつい。

 

お尻痛い。

 

お尻痛い。

 

椅子に座る度に痛い。

 

忘れてた痛さを、椅子に座るたびに思い出す。

 

奥のほうでズキンって。

 

でも、他の人に気づかれないように、頑張ってた。特に美穂さん。

気にかけてくれるのは嬉しいんだけど、お仕置きの事がばれないかと冷や冷やしちゃう。

 

直紀さんは、あれだけ厳しくされた後は、結構放任主義。どう思われてるのかな?
わかんないや。

散々お仕置きされてから、2週間は経つ。

 

何にも言ってくれないけど、とりあえず、置いてもらってるし、

踊ってる姿や、振り付けする姿や、事務仕事パソコンデしてる姿とか見て

一人でテンションあがりながら、振りをノートに書き取ったりして、自習。

 

「よし。今日は彩香ちゃんを励ます会!」

「え?え?何ですか?」

 

「ほら、あの一件以来、大人しいから」

「元気になってもらおうかなって」

 

「わ、私、大丈夫です。元気ですから」

 

「直紀、今日は彩香ちゃん家泊まって、女同士の話するからー。いいよね?」

 

うわ。ギロってにらまれたような気がする。

「彩香は?行きたいの?」

 

「あの、わ、わたしは・・・」

 

「よし!決定!」

 

強制的に決定され、「パ、パジャマないです」

「私の貸すから大丈夫!」

 

うえ。有無を言わさない攻撃。

でもね。なんだか、この人、人がいいし、面倒見がよくって、私が一人で寂しくないか

心配してくれてた。

 

優しいな。皆。

 

「よーし!飲もう!」

 

できあがってる酔っ払いは手ごわい

 

「あ。私沢山頂いたからもう、ウーロン茶で」

 

「しらふなんてつまらないでしょ!」

「大丈夫。一杯位わからないから」

 

「あたし、口堅いから」

 

いや、決して、美穂さんは口は堅くないと思う。

「駄目です。叱られます」

 

「つまんないな。わかったわかった」

 

なんとかお酒は飲まないっていう約束まもったんだけど、

 

 

「朝ごはんには戻って来い」って言われてた。

で、今何故か8時。

 

死亡。

 

美穂さんの携帯借りて、今から帰ると電話したんだけど、

帰ってこなくっていいって。

 

そんな。

 

「ごめーん。私またやらかしちゃったよね?」

 

って美穂さんって本当に天然に優しいだけなんだよね。

 

「大丈夫です。とにかく帰ります」

 

 

「いいか、美穂のペースにつられてどうする? 目覚ましかけて自分の事は自分できちんと管理する」

「わかった?」

 

「はい」

 

「膝においで」

 

やっぱり。そうだよね。

 

「一時間半も遅い」

 

「はい」

 

「ごめんなさい」

 

「膝においでといったんだ。聞こえた?」

 

「聞こえてます」

 

でも、でも・・・。

痛いし、できればお仕置きは嫌。

 

パチン パチン パチン

 

その場で、ぐずぐずしてたら数発叩かれた。

 

だって、やっと治ってきたのに。痛いの、やっと引いてきたのに。

 

「素直にいう事聞けないなら、お仕置き増やすし、痛くする」

そういって、足をさりげなく組まれて、膝の上。

 

すぐ分かった。足組むと、お尻が高くなって、すっごく痛い。

もともと、強く叩いているのかもしれないけれど、びっくりするくらいに痛い。

 

 

「ごめんなさい」

 

「いう事聞きます」

 

「ちゃんとします」

 

『痛い」

「それやだ」

「足組むの、いや。痛い」

 

「懲りた?」

 

「じゃあ、やり直し」

 

私を元の位置に立たせて

 

「膝においで」

 

しぶしぶ、膝に乗る。

お尻を当然のように出されて、恥ずかしい。

 

「痛いよ」

 

さっきよりはましだけど・・・

いや。

「やっぱり痛い」

「痛いです。ごめんなさい」

 

「最早、携帯を持たせたほうがいいな」

 

「まったく心配するだろ」

 

「し。心配してくれたんですか?」

 

「するだろ。そりゃ。言った時間に帰ってこないんだから」

 

ちょっと嬉しい。

 

「いい加減にしろよ」

 

パシン パシン パシン パシン

 

嬉しかったのは内緒。だって、ばれたら絶対に逆上って言うくらいに怒られる。

 

「ごめんなさい」

 

お尻はすっごく痛いのに、なんだか、心配したといわれたのがすっごく嬉しくって

痛さのあまり、直紀さんの足つかんで我慢してるんだけど、それすら、なんだか

独り占めの錯覚。

 

「お酒は飲まなかったから」

 

「当たり前だ!!」

 

わわ。雷が落ちた。

 

「そんな事で帳消しになんかならないからな。甘い」

 

「ひー。痛い」

 

「もう、十分反省しました」

 

「ちゃんと自分でしっかりするから。だから、だからお仕置きは」

 

「お仕置きはどうした?最後まで言ってみろ」

 

「い、いえ。なんでもないです」

 

「そうだよな?そんな事言ったら、お尻痛くなるだけなの分かる位には学習能力があってよかった」

 

やだ。ほめられてない。それって脅し。

 

「でも」

 

でも?でもって?

 

「その根性は叩きなおす。口答えの分、あと50追加」

 

「オニ」

 

「100にして欲しいって聞こえたな」

 

地獄耳

 

「何も言ってないです。反省してますー」

「凄くいたくって、反省してる。ごめんなさい」

 

まあ、寝坊くらいだからこれくらいにしてやるか。

 

「痛いの治ったばかりなのに」

 

「お尻冷やしてるからって、終わりだと思って油断した事言ってるともう一度膝に乗せるぞ」

 

「不満じゃないです。事実です」

 

「減らず口叩くなら、反抗できないようにするか?ん?」

 

叩くつもりないのわかる。

だって、頭ごしごしってなでてくれて、ちょっと心配してくれてる風だもん。

 

直紀さんって、正しい事はきちんとタイプだけど、

終わりって言った後は、引きずらないし、取るに足らない私みたいな存在であっても、

面倒みると言ったら、ちゃんと本当は気にかけてくれてるのかも。

 

うぬぼれかな?


どうしても、自分に自信が持てないから。

だから、ここに居ていいという言葉がどれほど安心するか。

 

人に近づきすぎて、ある日、捨てられてしまうのが怖い。
なのに、直紀さんだけは、どうしても目が行ってしまう。

どうしても、関わっていたいと強く、強く思う、尊敬する人。

 

私にも勇気があったら。

 

お尻がジンジンするのと同じように、私の胸も痛い。寂しいよ。

 

自分が空っぽで。何にも持っていないから。