道14

2013/08/16

「あの、直紀さん」

 

リビングで新聞読んでた直紀さんに後ろから声をおずおずとかける

 

 

「ん。反省した?」

 

「はい」

 

「俺の言いつけ守れないと、お尻痛くなるの思いだした?」

 

嫌な事言うな、もう。

 

「はい」

 

「言われた事すぐできなかったら、お仕置きなのも忘れてないね?」

 

「はい」

 

「じゃあ、膝においで」

 

「や。なんで、反省ちゃんとした。反省したよ。直紀さん、もうお尻無理」

 

「僕がさっき膝においでと言ったのに、言われた事が出来なかったでしょ?」

 

「見逃すつもりない」

 

 

「ぐずぐず言うのなら、後で後悔する事になるだろうね」

 

そんな・・・。

まさかとは一応、最悪のケースは考えていたけれど、お尻は本当に無理。

 

「膝においで」

 

「2度目だね。一回でこれたら10発だったけど、いまので、20」

 

もう駄目だ、膝に乗るしかないのは分かった。

 

そして、恐る恐る、というか、渋々膝に乗って、お尻を叩かれた。

 

冷やしたというのに、

そこは・・・という箇所ばかりが叩かれ、

お尻の下の方だけ狙った手が、深く差してくるような痛みと共に振り下ろされる。

 

鬼だ。 厳しさについては・・・。そうだ、こういう人だったんだよね。

片目つぶって、ちょっと大目に見てくれるとか一切ない。

 

期待するだけ無駄。ていうか、そういう態度に出たらさらに叱るタイプだって

わかってたはずなのに。

 

時間がそれを忘れさせてしまっていた。

 

人間嫌な事は忘れてしまう生き物だし。ね。

 

直紀さんは、言われた事出来ないのなら分かるまで教えるタイプ。

絶対的な上下関係の厳しさをモットーにする、体育会系だったんだっけ。。

 

ちょっとだけ見せた、優しさにすっかり忘れてたけど、

言われた事出来なかった時っていうか、

私がやるって言ったのに、しなかった時は、めちゃめちゃ怖いの忘れてた。

 

半年ぶりにこの人の本気の怖さ思いだした所で、やっと膝から下ろしてもらえた。

 

「そんなに泣いたら、喉 カラカラだろう?」

 

自分がしたくせに、お茶持ってきてくれるなんて、ちょっと笑える。

 

 

お茶飲んでる間、直紀さんの半年間の話をかいつまんでしてくれた。

お尻痛くて座れないから、たて膝という変な格好で。

 

話聞いているだけなのに、踊っている情景が浮かぶ。

話聞いているだけなのに、拘りが満載で、そのプロ的意識の美学に魅了される。

 

お尻痛くって、じんじんして、泣きごと言ったら、

冷たいタオルをお尻に乗せて寝っ転がってて良いといってくれて、

そんな風に聞いている自分を想像すると

おかしくなってくるけど、

話を聞いている間は夢中で、もっともっとと話が聞きたくって堪らなかった。

 

やっぱり、もっと、直紀さんの情熱に触れてみたい

 

「どんなに無理だと自分が思っても、一番良いものを届ける気持ちがあったらもうひと頑張りするのがプロ」

 

カッコいいと惚れ込んで話を聞いていたら、

 

「さて、もう明日に差し支えるから、俺は休む」

 

「忘れないようにもう一度言っておくけど、お尻が痛くって、止めて欲しいと泣きごと言ってごまかそうとしても、俺がお仕置き終了かどうかは判断する。彩花はすぐ弱い振りをしてごまかそうとするからな」

 

と耳が痛いお言葉。

 

「その際は、本当に反省すべき事が何か分かるまで、責任もって教えるから安心しろ」

 

「明日から、一からの躾けし直しじゃないといいんだけどな」

 

「直紀さん、私頑張ってるから、あの、その、大丈夫だと思うし、お仕置きも多分しなくて良いと思う位にできてると思うし」

 

ふっ・・・

必至だな。

ちょっとからかってみただけだけど、相当懲りたみたいだな。

この反省が、いつまで持つかわからないけど、

まあ、怖さがわかっただけでもいいか。

 

まったく、俺の目ごまかそうなんて100年早い。