2018/3/11

直紀さんの所に勢いで押しかけて、教えてもらえるようになってから初めて舞台で踊る姿を生で客席から見ることが出来た。

 

直紀さんの踊りにただひたすら感動。

 

 

 

群舞の中で踊っているというのにずば抜けて上手いから、直紀さんの事をひたすら目が追ってしまう。

 

見入ってしまう。

 

心臓がドキドキしてるのが分かる。

 

あくまでもグルーブの調和を乱すことはしてないのに、この見せ方。

 

悔しくなるほど上手い。

 

空間が動きに満ちていてとにかく美しい。

 

 

 

舞台に出ると聞いて、色々頼まれているだろうしと遠慮して1日だけ取ってもらったチケットだけど、目に焼き付けても焼き付けても、もう一度見たいと思うやつだった。

 

魅了される。

 

 

 

明日が千秋楽だから、あと一日しかこの舞台では見ることができない踊り。

 

もう一度見られるチャンスは1度だけ・・・か・・・。

 

そして次はいつあるか分からない。

 

 

 

あの時、複数日用意できると言われたのに、お金もなーと思って、1日しかお願いしなかったことに今酷く後悔。

 

お金はバイトでもなんでもして貯めたらいいんだよ。

 

ああー。

 

見たい。見たい。

 

 

 

どうしてももう一度みたくて、可能性がゼロじゃないなら悩んでないで行動だと思って、当日券にかけた。

 

 

 

美穂さんに聞いたら、千秋楽でも席出ることあるからと言ってたけど、何人に券が回ってくるのだろう。

 

自分の番が来る前に無くなっちゃったら悲しすぎるなー。と色々心配しながら当日券の列に並びにいった。

 

 

 

美穂さんの所に泊まると嘘ついて、夜から列に並んでる時はバレたら叱られるな。その上見れなかったら泣きっ面に蜂だな。とか本当に不安しかなかったんだけど、幸せなことに席がまわってきた。

 

しかも、前の方で本当についてた!

 

さすが千秋楽の独特な熱気と雰囲気。誰よりも私は楽しんだと思う。

 

 

 

内緒で見に来たから誰にも会わないようにしながらも、ああでも今すぐに誰かと共有したい!っていう興奮を一人で抱えてそそくさと出口に向かう。

 

 

 

幸せ

 

 

 

幸せすぎる

 

 

 

自分の中からあれだけの興奮が沸き上がるなんて思ってもみなかった。

 

ああいった感情が私の中にあったんだな。

 

踊りたいーー!

 

私も直紀さんと同じチームでいつか舞台で踊りたい。

 

熱心に練習したら叶うかな。頑張る!わくわくしたし、夢に胸が膨らむ。もう、とにかく楽しかった。見ることが出来て本当によかった。

 

 

 

また見たいな。でも今は当分目に焼き付けた師匠の踊りでイメトレだな。

 

どれだけ、すごい人なんだろう。

 

すごい。すごい。すごい。

 

 

 

2日間見に行ったことを直紀さんに言えないのはちょっぴり寂しいけどこの多幸感はなんとも言えない。

 

 

 

私はやっぱり踊っている直紀さんが最高に憧れの存在なんだよな。

 

 

 

幸せいっぱいで翌朝一人で朝ごはん食べながら脳内では踊っている直紀さん思い出してたら、後ろから声かけられた。

 

 

 

「彩花」

 

 

 

「直紀さん、舞台すごーく素敵でした。余韻にずっと浸っちゃうほどだった」

 

 

 

「見に来てくれてありがとな」

 

 

 

「もっと直紀さんの舞台見たい」

 

「すごいよかった」

 

 

 

「ありがとな」

 

 

 

「ところで、千秋楽のチケットはどうやって手に入れた?」

 

 

 

 

 

目の前の椅子にすっと座ったイケメンの師匠。

 

 

 

熱量半端ないいままに、直紀さんのダンスについて語りたかったのに。

 

 

 

いきなり『チケット』と言われて一瞬本気で何のこと言われてるか分からなかった。

 

 

 

「あの

 

 

 

と言ったきり絶句。

 

頭、真白。

 

誰にも言わなかったし、誰にも会わなかったのに。誰かに見られたのかな?

 

 

 

「最後に演者全員が挨拶した時に舞台からお前が座ってるのみえた」

 

 

 

「えっ。見えたの?」

 

 

 

「見えた」

 

 

 

はい。アウトー。本人が見てたのならこれ以上何の言い訳ができるだろう。

 

『見えた』ってそんなにきっぱりと言わなくったっていいのに。いきなり追い詰められて後が無い。

 

 

 

「定価より高く買ったりしてないだろうな?」

 

 

 

「え?あ、それはしてないです」

 

 

 

怖くて顔を思わずそらしちゃう。

 

 

 

「なら、どうやって席取ったんだ?」

 

 

 

「えーと、あの、列に並んだの。招待席のキャンセル分とか、出る事もあるからって聞いて、可能性あるかもと思ってとりあえず当日の券に並んだの」

 

 

 

「どうしてももう1回みたくなったから

 

 

 

「直紀さん、凄く素敵だったから」

 

 

 

「それはどうも」

 

 

 

「見に来てくれてありがとな」

 

 

 

頭撫でられて

 

 

 

あ!私の方が嬉しい。

 

いちファンみたいに舞い上がっちゃう。仕草にやられる。

 

 

 

「だからと言って舞台見るためなら、何でもしていいってことにはならない」

 

「それは分かるな?」

 

 

 

「うん」

 

キュンとなったのもつかの間、叱られた。

 

 

 

「約束破るとどうなるか知ってるな?」

 

 

 

うそー。甘甘かとおもいきや、そうだよね。そうだよね。やっぱりお説教で終わるはずは無いのかも?

 

 

 

「や、約束って?」

 

 

 

あ。バカ。私ったら、いくら怖いからといったって、何でこんなとぼけたことなんでいっちゃうの

 

 

 

「例えば門限の時間を守るとか」

 

 

 

ひぃっ

 

 

 

「遅くなるなら連絡するとか」

 

 

 

やだやだ。ひたすら怖い

 

 

 

「嘘をつかないとか」

 

 

 

駄目だ。

 

バレたらお仕置きだってわかってたし、それでも見たかったからいざとなったらお仕置きは覚悟の上だったけど、この言葉での攻め方まじで怖すぎる。

 

 

 

「悪いことしてしまったらとりあえずすぐに正直にいうとか」

 

 

 

「まだあるが、続けるか?」

 

 

 

追い詰められた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ええいっ。もはや、したこと正直に言うしかない。

 

 

 

「チケット並ぶの早く行かなきゃって思って」

 

 

 

「うん。それで?」

 

 

 

「席回って来なくて後悔するなら、なるべく早く行って並ぼうって思って」

 

 

 

「だから、えーっと、美穂さんの家に泊まるというのは嘘で、その、美穂さん家には行ってなくて、舞台見に行ったの」

 

 

 

「何で俺に相談しない?」

 

 

 

「だって夜から並ぶのはダメっていわれると思ったし、そしたら見れる可能性が無くなっちゃうって思ったから」

 

 

 

「叱られるの覚悟の上でしたのなら、その後、自分がしたこと俺に正直に言わなかったのはなんでだ?」

 

 

 

 

 

 

「彩花?」

 

そんなの分かりきってるくせに。

 

お仕置きが嫌だからだよ。お仕置きされたくないから、バレないように嘘ついたんだよ。

 

 

 

「お仕置き覚悟でも見たいもんは見たいというその思いは尊重したいけど、正直に言わずにバレないように画策するのは見逃せない」

 

 

 

何も言えない

 

 

 

「だって、直紀さんのお仕置き凄く痛いから」

 

 

 

「こら!自分で覚悟の上でしたのならちゃんと逃げずに自分で責任とれ」

 

 

 

そうは言ったって、本当に痛いし怖いんだもん。

 

 

 

 

 

「何時から並んだんだ?」

 

 

 

聞かれたくなかったその質問。

 

 

 

「夜」

 

 

 

「夜?」

 

 

 

言わなきゃだめか・・・。

 

 

 

「ファミレスで時間潰してから終電で行ったの」

 

 

 

「おいおい、嘘だろ」

 

 

 

「だってあの舞台人気だったし、千秋楽だし、私が行った時にはすでに数人並んでたんだよ」

 

 

 

「吉沢一緒に行かせるとか、一人で並ばなくて良い方法ないか考えられたかもしれないだろ」

 

 

 

「ガキが勝手な行動するな。誰か経験ある大人に相談しろ」

 

「仮にも女の子が夜一人で並ぶなんて危ない」

 

 

 

過保護だよ。そんなのー。皆並んでるし!と思うけど流石に今それ言ったら駄目だよね。

 

 

 

「周りは女の子だったし、大丈夫だったし」

 

・・・

 

 

 

「あ、あの」

 

 

 

なんにも言ってくれなくて不安になる。

 

 

 

「心配するから、黙って夜出歩くのは止めるな?」

 

 

 

あ。

 

 

 

お仕置きされたくなくって、心配されてるってことは分かってたのに、その気持ち、くみ取れてなかった。

 

 

 

「心配させて、ごめんなさい」

 

 

 

「約束だぞ。ちゃんと遅くなるならどこにいるか連絡はすること」

 

 

 

「・・・は・・い。ごめんなさい」

 

 

 

そうだった。心配させるような事したら、ダメだよね。

 

見に行きたいあまり、思いが及ばなかったし、その後はお仕置き怖くてひたすら隠すことばかりに頭使ってた。

 

 

 

「千秋楽終わったあと、昨日は美穂の所に行かないでどこに行ったんだ?」

 

 

 

「あ、えっとネットカフェに」

 

 

 

ものすごい深いため息つかれた

 

 

 

「何度も言うが、心配させるな」

 

 

 

「はい。ごめんなさい」

 

 

 

2日も無断外泊は簡単なお仕置きじゃ済まないのは分かるよな」

 

 

 

びくっ。ス、スイッチ入ったりしちゃってないよね?

 

 

 

「その上お仕置きが嫌でコソコソしたらどうなるか忘れないように教えとこうな」

 

 

 

わーん。

 

口調は優しいのに、言ってることめちゃめちゃ恐ろしい。

 

 

 

「どうしても見たいという情熱は嬉しかったが、お仕置きはきっちりする。わかったな?」

 

 

 

「嫌だから逃げるのは感心しない」

 

 

 

そうだけど、そうだけど。

 

頭では理解してるよ。もちろん、そうだよ。

 

だけど、だけど、嫌なものは嫌だし、怖いものは怖い。

 

 

 

 

 

でも、これだけは今言わなきゃ。

 

「だけど、私、どうしても見たかったから、見に行ったことは後悔してないです」

 

 

 

まったく...そんなこと言われたら厳しくできなくなる。

 

中々に熱いな。

 

 

 

「今回は大目に見て回数は少なくはしといてやる」

 

 

 

「え!」

 

 

 

「ただし、痛いからな」

 

 

 

複雑。結局あんまり嬉しくない。

 

痛くされるの、やだ。

 

 

 

「舞台見るのが理由だと何しても良いと思ったりしないくらいには厳しくする」

 

 

 

「・・・」

 

 

 

「返事は?」

 

 

 

「はい」

 

 

 

あーやだやだ。返事するのも嫌だ。

 

自分が悪いのはわかってるけど、やっぱり嫌だよ。

 

お仕置きされるなんて、しょんぼりだ。

 

そして、態度にはめちゃ、うるさい。

 

 

 

ちぇっ。結局お仕置きかー。

 

 

 

「隠そうとした分は上乗せな」

 

 

 

顔が引きつる

 

 

 

やだーー!

 

きっちりしてて、すごく嫌。

 

正論なんて大嫌い!!

 

やだやだ。

 

 

 

「未成年、返事は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい」

 

 

 

憮然としながらも返事はした。

 

返事しなかったらもっと怒れるだろうし、直紀さん十分怒ってるし。

 

だけど、だけど、

 

お尻痛くされるの嫌なの。本当に痛いんだもん。

 

怖いよう。

 

 

 

未成年...か。身の程わきまえろと言わんばかりの言い方。早く大人になって自由に遊び回りたい。

 

 

 

「うちにいる間は、俺が決めたルールに従ってもらう」

 

 

 

私の心見透かしたかのような釘の指し方。

 

「外泊は110回、2日分で合計20回。

 

隠そうとした分10回。

 

正直に言わなかった分10回。

 

心配させるような事した分10回」

 

 

 

「合計は?」

 

 

 

50…だと思う」

 

 

 

畳み掛けるように言われて指を思わず折って数えたけど、憂鬱。

 

 

 

一つ一つは、一見少ないようにも思えるけど、あっという間に積み上がって、果たして少なめなのか分からないレベル。

 

 

 

隠すと正直に言わないって同じことのように聞こえるんだけど。

 

 

 

「ソファーでするか」

 

 

 

 

 

わーーー。

 

きちゃった。

 

遂にこの時間がやってきちゃった。

 

 

 

おもむろに立つから仕方なく後に続く。

 

 

 

すぐそこだけど、のろのろと後ろを歩く。

 

痛くすると言われたけど、でもやっぱり痛くないといいのに。

 

そんなはずはないけど、例えば回数おまけしてくれるとか。

 

やだやだ。本当にお仕置きが嫌。

 

 

 

食べかけの朝食が急に気になってしまう。目玉焼き冷めちゃう

 

いや。とっくに冷めてるけど、思いっきり現実逃避でどうでもいい事が気になっちゃう。

 

 

 

 

 

まったく。

 

もう一度観たいと思って本当に見に来てもらったことはうれしいが、心配させて。

 

 

 

幸いにも何事も無かったからいいものの、こいつは、何度言ったら危ないことが無いように自分の身に対して注意できるようになるんだ?

 

 

 

夜中から表に並んで、さらにその翌日はネットカフェだと?

 

 

 

本来ならもっと厳しくするべき所をそれでも回数少なくしたのは、バレたらお仕置きされると分かってても舞台をどうしても見たいと言った情熱に負けたと言わざるを得ない。

 

自分にとって大事な事は何を押してもやってみるという、その情熱は尊重したい。

 

 

 

まあ、なんだかんだ言っても彩花がこんなに楽しそうにしてるのを見ることは、演者冥利に尽きるが。それでも俺の役割としてはお仕置きはしないとな。

 

 

 

シャツの袖をおもむろにたくしあげなくったっていいのに。

 

踊ってる時じゃなくても、あの腕にすっと浮かぶ筋はかっこいい。

 

複雑な心境だよ。

 

 

 

「膝においで」

 

ソファーに座って私を見るその人の顔はそんなに怒ってるようには見えないけど、大丈夫だろうか?私。

 

 

 

「はい」

 

 

 

言われた事は分かってるけど、体が動きたくないって言ってる。

 

 

 

「彩花?」

 

 

 

「うん。あ、じゃなくて、はい」

 

 

 

無言で膝をポンポンとされて渋々膝にのる。

 

 

 

あ。いや。

 

スエットが下ろされ、

 

パンツも下ろされる。

 

 

 

・・・恥ずかしい。

 

はあ。何でこんな事に・・・

 

「正直に言わなかったのは悪いことだからな」

 

パチン

 

 

 

パチン

 

 

 

痛いけど散々ビビって膝に乗ったから、思ったより我慢できる痛さに少しほっとする。

 

 

 

我慢我慢と叩かれるたびに心の中で数えること4つめ。

 

まあまあ順調に耐えられるけど、お仕置きはやっぱり嫌なのー。

 

 

 

からの

 

 

 

「いったーーーい!」

 

 

 

「や。無理」

 

 

 

5つめから強烈に痛い。

 

痛いって叫んでるのに、お構い無しでお尻をどんどん叩かれる。

 

 

 

「痛い」

 

「痛すぎ」

 

 

 

数発は我慢できたとしたって、これ数発じゃなくて数十発続くんだよね。

 

無理でしょ。耐えられる訳ないでしょ。

 

思わず手でお尻を隠す

 

そんなことしたら、駄目だってわかってるけど、だけど、とっさに手が出てしまった。

 

 

 

「お仕置き覚悟でやったなら、責任とらなきゃな」

 

 

 

「手をどけなさい」

 

 

 

「だって、だって、我慢しなきゃって思うけど、こんなに痛いのはちょっと無理だもん」

 

 

 

「ごめんなさい」

 

 

 

「でも、痛いんだもん」

 

 

 

やだ。

 

痛いの無理

 

 

 

お尻をかくしたら、もっと叱られるって事くらい分かってるけど、本当に無理。

 

 

 

手をどかしたらすぐに始めるくせに。痛いところ、どんどん痛くするくせに。それなのにどかすなんてやだ。

 

 

 

やだやだ。

 

 

 

もうやだ。

 

 

 

「わかった」

 

 

 

え?

 

 

 

「彩花が自分で手をどけるまで待つが、最初っからやり直す」

 

 

 

え?あ。やばい。

 

最初っからって、何?

 

 

 

「待って待って、今すぐ戻します。戻したから」

 

 

 

ひっ

 

 

 

「いたーい!」

 

 

 

「最初からだ」

 

 

 

「返事は?」

 

 

 

お尻ペチペチしながら言わないでほしい。

 

 

 

「はい」

 

 

 

オニーーー

 

50は頑張れ」

 

 

 

「始めるぞ」

 

 

 

べチンってされた!

 

何この痛さ!

 

 

 

「ひっ」

 

 

 

「自分のした行動に対してちゃんと自分で責任とれ」

 

 

 

「誤魔化そうとするなんて言語道断だ」

 

 

 

「いたーーたい」

 

 

 

「痛いです」

 

 

 

「自分の行動には責任もちなさい」

 

 

 

「わかった。わかりました。ちゃゃんとします」

 

 

 

「お仕置き覚悟でしたなら、ちゃんと正直に言え」

 

 

 

無理。正直に言うのは無理だよーーー。

 

あまりの痛さに、膝から脱出したいのに、ガッツリホールドされていてビクともしない。

 

 

 

「痛いよー」

 

 

 

もがこうと、

 

何しようとお構い無し。

 

 

 

痛い所に重ねて痛くされると飛び上がる痛さ。

 

 

 

何!この厳しさ!

 

もうやだ。お尻叩かないでーー。

 

 

 

「お仕置き覚悟でしたなら、ちゃんと正直に言えるか?」

 

 

 

返事しなかったら、『はい』というまで同じ質問って。

 

追い詰めるドS

 

 

 

徹底的に厳しいよー

 

 

 

追加されかねないから、痛いペチン、ペチンの間に、しぶしぶ返事。

 

 

 

「はい」

 

 

 

「もう無理って言ってるのに本当に無理ー」

 

 

 

「後10回」

 

 

 

やっ。まだある。

 

 

 

や、やだ。足組まないで。

 

それさらに痛いやつ!!

 

 

 

「やだ。足組むの。やだ。痛いもん。もう無理なのに。まだ痛くするなんて酷い」

 

 

 

「なんでお仕置きされてるかわかった?」

 

 

 

「わかってる。反省してる」

 

 

 

「足組むのや。ごめんなさい。もうしないから」

 

 

 

だから、ちょっと力を緩めてもらえないでしょうか。

 

と、言えるわけない微かな望みをいだきながら耐える。マジで痛い。耐えられないーー。

 

 

 

やるときは徹底的に、キチンと躾ける人なんだよ。知ってるよ。

 

だけど、それにしても今日のはきつい。

 

この人が怒るような事をしたら、めちゃめちゃ厳しく指導されるってことも知ってる。

 

でも、知ってるからこそ嫌で隠そうとしたんだよー。

 

 

 

 

 

最後に強制的に言わされた宣言が、

 

『正直に直紀さんにこれからも話します』だった。

 

 

 

言えたら終わりって本当に徹底してる。これから「も」って、所がイヤミ。

 

 

 

数が多くても少なくても怖さと、厳しさは変わらないのかも。

 

めちゃめちゃ痛くて、お仕置きなんて大嫌い!!

 

 

 

やっとお尻冷やしてもらえたけど、なんなら目も冷やしとかないとというレベル。

 

なかなか終わらないのと、痛いところに容赦なくペンされることが悲しくなって、涙がこぼれた。

 

 

 

「痛すぎる」

 

 

 

「まだ不満が出るなら。膝にのせるぞ」

 

 

 

「不満じゃないもん。感想だもん」

 

 

 

「分かった」

 

 

 

「あ。嘘です。もうもう、本当に無理。ごめんなさい」

 

 

 

やだ。おしりに乗せてもらった冷やしたタオル返してー。

 

 

 

その場に立たされて、ソファーに手を付くような姿勢にされて、お尻ペンされた

 

 

 

「反省しろ」

 

 

 

「やだ。やだ。もう十分痛いのに」

 

 

 

「やっ。痛い。お仕置きやだ」

 

 

 

「はじめるぞー」

 

腰が引けないように、お腹に回した腕でぐっとお尻を突き出すような姿勢をさせられる。

 

 

 

「やーーー!」

 

パチン パチンと 数発その場で叩かれた。

 

「痛い」

 

 

 

「お仕置きがいやなら、お仕置きされるようなことするな」

 

 

 

「分かった!!もうしない!しないから」

 

 

 

「驚くほどの即答だな」

 

 

 

全然気持ちこもってなくて笑いそうになる。まあ強めに叩いたから痛い事への反射でしかないのは分かるが

 

いつまで大人しくしてられるのか。

 

効果の持続性がどれ程あるのか分からないが、危ないことは止めてくれ。

 

 

 

「冷やしとけ」

 

 

 

あーー。怖かった。

 

痛いお尻の上に戻された冷やしたタオルが気持ちい。

 

 

 

お仕置き覚悟というより、単に約束守ってない自覚なだけで、嫌なことは避けたかっただけ。

 

きっとそんなの全部おみ通しだったはずなのに、あえてそういう言い方したのかなー。

 

 

 

しかし、舞台から本人に見られていたとは。

 

 

 

本当にびっくりした。

 

 

 

あの舞台は本当に見たかったから、自分の取った行動はこれっぽっちも後悔してない。

 

次なんて、無い。

 

この何年も舞台で踊る直紀さんは見てない。

 

だからこれからだって機会は絶対に逃したくない。

 

やり方は工夫の余地があるけど、直紀さん見るためなら、どんな事しても見たい。

 

 

 

「彩花、相談ちゃんとしろなー」

 

 

 

なに!心の中読まれてる位の絶妙なタイミングでの牽制

 

 

 

「反省ちゃーんとしてるから!!」

 

 

 

「『はい』と返事しないところ見ると怪しいな」

 

 

 

「します。相談します」

 

 

 

なに、この嗅覚のするどさ

 

危ないーー。

 

もう、本当にお尻無理だから

 

 

 

どの返事聞いても、心からではないのが心配だが、じゃじゃ馬に何言っても無駄だから毎度毎度、お仕置きして教えるしかないか。

 

手のかかる

 

 

 

「散々厳しくした俺が言うのもなんだが、今したい事に正直に、ちゃんと行動したのは大事な事だ」

 

 

 

「え?」

 

 

 

「『いつか』とか、『今度』なんてその気がないなら使うべき言葉じゃない。もし今、それが出来る環境にあるのなら、今しなきゃだめだ」

 

 

 

「うん。直紀さんの舞台、すごくよかったからもっと見たかった。次いつあるか分からないし、チャンスがあるなら見ておきたかった」

 

 

 

「わかってる」

 

 

 

なんだ。分かってくれてたんだ。ついさっきまで、あんなに怖かったのに、なんか急に尊敬。

 

 

 

「だけど、相談したら他の方法があったかもしれない。特別に調整出来る事だってあるかもしれないんだから、今回学んだ事は生かしてくれ。黙って無茶しないでとりあえず誰か大人に相談しろ」

 

 

 

「わかった」

 

お尻冷やしてるから、ソファーにうつ伏せで良かった。ちょっと感動。泣きそう。

 

 

 

「普段は駄目だけど、特別があるか相談するんだぞ。勝手に今回は特別と自分で判断したりするなよ」

 

 

 

「わかってます!」

 

 

 

もう、心配性なんだから・・・。

 

 

 

まったく、じゃじゃ馬には俺の言わんとしてる事が何割伝わってる事やら・・・。