道15

2013/10/20

直紀さんは手を抜かない。

 

最後の最後まで集中力と拘りをギリギリのところまで高める人。

 

 

はああ。このカッコよさは、だけど

お仕置きの時は無用だよね。

 

ちょっとくらい見逃してくれったっていいのに。

わかってるけど、おまけしてくれたっていいのに。

 

でも、そんなこと考えてるのか!ってもし一瞬たりとでも見逃して欲しいとおもってるのが

態度にでようものなら、その分お仕置きされちゃうんだけどね。

 

好きな所はその才能だけなんだから、居候止めて、ただ職場で働かせてもらった方が

私の身の為だとおもうんだよね。

 

なんか、自由が欲しい。

 

 

表向きには、自立したいからと親に泣きついて、

とりあえず、じゃあ、お試しという事で一人暮らしを認めてもらった。

 

直紀さんはその時何にも言わなかったけど、
どう思っていたのかな。

 

 


多分、そう、今のこの展開のように、最悪の場合は、お仕置きする事になるんじゃないかと

思っていたのかもしれない。

 

怖い。

 

一人暮しって、『まあ、いいや』ってなりやすい。食欲なくなって、一人だし、ご飯考えるの面倒で、ちゃんと食べてなかった。

 

皆のレッスン中、お茶を準備しようとポットを持って立ちあがったったら、ふらってしちゃって、
しばらく、後ろで横になってたら、直紀さんが来て、

「今日はウチに帰っておいで」

 

とそう言い残して、またダンスしにいっちゃったんだけど

 

ここ数日の気候の変化でなんか食欲なくって、不摂生がたたった所にこの展開。

何やってるんだ?って叱られちゃうのかな。私。


***

直紀さんの家についてから、今ソファーに座る直紀さんの足元に正座させられてて、

ちょっとでも動くと、「動くんじゃない」とだけしか言われない

 

何分たったんだろう?

脚が痺れて、辛くって、直紀さんは絶対に怒ってるし、我慢できなくなって

 

「ごめんなさい。体調管理できなくって、迷惑かけました」

 

素直に謝ったけど、許してもらえるとは思っていなかったものの、、

しーーーんという沈黙が怖い。

 

 

「選択肢は二つ。田舎に帰るか、俺のお仕置きを嫌って言うほと受けることになっても、この家で暮らすかどっちかた」

 

お仕置き無しで、この家の選択肢はないんだよね・・・。

そりゃそうだよね。

今までもそうだったし。

 

「ここに居たいです」

 

「自由と、怠けてるのは違うからな」

 

ぎく。

 

バレテタ。

 

「まず、やる事やってからだ。それと、彩花はいつだって自由なんだからな。

自分が決めてるというのは、他の誰の関与も無い。自分の自由だ」

 

なんか、謎かけのようでもある言葉にすぐに意味が入って来なかったけど、これ以上

怒らせたら大変と、急いで返事をする。

 

「はい」

 

「本当にわかってるか、怪しいな」

 

そう、顎を持ちあげられて、まだ足がしびれているのに、変に自分の体重がかかって、

もう本当に限界で、弱音吐きそう

 

 

「足が痛い?」

 

「痛いです」

 

「お尻もこれから痛くなるけど?」

 

「どうする?」

 

どうするって、鬼だ。ドSだこの人。

 

「俺は強制はしない。ただ、ここにいる以上は決まり事はある」

 

「ここにいると決めるかどうかは、彩花だ」

 

 

「だから、さっき言ったのに」

 

「もう一度、どうするか本当に言ってごらん。田舎に帰る事が悪い事じゃないと思う」

「ここにいて、何を得ようとしているのか、その為に、自分が本当に頑張れるのか?それを考えてご覧」

 

 

お仕置きがいやで、なんとなく、楽な生活をと思ったのは、

彩花が一人暮らしをしたいと親にねだって、画策した話を聞いてすぐにわかったけれど

やらせてみた。

 

仮に上手くいくのであれば、彼女が選んだ自立方法で、それは俺がとやかく言うことじゃないと思ったから。

 

しかし、それがちゃんと出来ないのであれば、同居人として俺のやり方で教育するまでだ。

オフクロがまたうるさいし。


彩花が来た当初はお袋から言われて渋々引きうけた訳だけど、
いつの間にか、このやんちゃ娘に情が移ったかな。

 

「田舎に帰るつもりはないです」

 

「わかった」

 

「健康管理もちゃんとできないで、成功しようなんてありえないからな」

 

「はい」

 

今にも泣きそうな声だな。まあ、反省はしているみたいだから、お説教はこれ位にして

後はきっちりお仕置きするだけだな。

 

「反省してるのなら、膝においで」

 

反省してるのならって、あえて言うあたりが心に刺さる。

低く通る声。声に痺れるな~と一瞬の現実逃避。


ちらって、顔をあげたら、おもむろに視線があってしまった。

ひいいい。怖い。

 

そろりと近寄って、ゆっくりと膝の上に乗る。恥ずかしい。

 

ここから、最大級の恥ずかしい瞬間。パンツが下ろされる。
もうやだ。本当に嫌。

 

 

「反省してるのなら、ちゃんと我慢できるよな」

 

ビクン。と最初の一発ですでに体が反射してるのわかってて、そんな事言う。

我慢、私だってしようと思うけど、だって、それ以上に痛くって、自然に逃げようと体が反応しちゃうんだってば。

 

はい。と言ったものの、体はどうしたって、お仕置きが痛くって、逃げ出したくなって動いてしまう。

 

「よし、わかった」

 

あ、わからなくっていいのに。

 

その一言はあまりいい方向になった試しが無い。

 

「動くんじゃないよ」


そういいながら、腰に回した手に力が入ったのは何故?

足組まれて、我慢出来たこと無いんだよと思った矢先、

「!!!」

 

ひえっ

いっっったい。

痛い、痛い、痛い、痛い、

 

間髪いれずに、連続。

 

息が止まる。

 

ああ・・・・。こんなに痛いのするなんて。

さっきの位でちゃんと我慢して大人しくしてれば良かった。私のバカ!


ああ・・・・。

そうなんだよ。

お仕置きされる前に、私が覚悟する痛さ以上に、いつも結果的には、とてつもなく痛いんだった。

そして、怒ると、さらに、さらに、こんなに痛いお仕置きになるんだった。

 

「ごめんなさい!!!」

 

ひえーーっ。ひえーーーーっ。と、叩かれる度に脳内では叫び声がぐるぐるとする。

 

 

「面倒がらずに、ちゃんと生活する。生活変えるから。ちゃんとします」

 

自分でも、何言ってるか良く分からないけれど、

必至にちゃんとするという事を連呼してた。

 

「絶対に、約束守ります」

 

 

あ、手が止まった。

「絶対?」

 

「あ、いや、あの」

絶対というのは、オーバーだったか。

 

絶対に守るんだね?」

 

わー。なんで、そんなに『絶対』を強調するかな?

 

「・・は・・・い」

 

ここで、『はい』以外を答える勇気がある人なんて、絶対にいない。

この状況下、この、話術巧みで、逃げ場の無い追い詰め方をする鬼を前に、

下手な事を言ったら、大惨事になるのは目に見えている。

 

「最大限の努力します」

 

「最大限だなんて、限定しなくっていいんだけどな」

ふっと笑ったので、あれ?意外に甘いのかと思ったら、

 

「どんな事が最大限なのか、僕には分からないからね。ただ、悪い事したら

お尻を容赦なく叩く。そのシンプルさだけだ。

 

 シンプルって・・・怖い。

 

 

 

「心入れ替えて頑張ります」

 

「それは、自分への宣言?」

 

「そーーです!ちゃんとやります!」

 

思考ではない、自分の感情から湧き上がってくる何かで、一杯になってた。

 

「もう少し頑張るなら、その間だけだぞ。ここに居ていいのは」

 

「ずっと居ます」

 

おいおい。ずっと・・?っていうのは。スイッチ入りすぎなんだけどな。まあ、今はいいか。


膝から下ろされて、散々泣かされた私の腫れたお尻に、冷たいタオルを置いてくれる。
そのまま直紀さんは部屋に戻ってしまった。

 

『明日は今まで通り、ちゃんと自主トレするように』
て言われて、お尻をしばらくし冷やしている内に感情の高ぶりが治まってきた。

 

こんなに叩く事無いのに。


とちょっと逆切れしつつ、再び同居人となったこの環境は

意外にも安心する空間なんだと思ってる自分に驚いた。

 

ここに居て、それでも、これからはちゃんと自立しなきゃ。

いつまでも、べそかいてなんかいられない。良い仕事して、直紀さんに『おお』っと言わせて見せる。

 

直紀さんが言った、『いつでも自由』って自分が選択して決めた事については自分の自由って言う事を

言ってくれてたのかな?もしかして、そういう意味だったのかな?