道20
2016/9/18
このところ落ちてる。
浮上できないのはなんでだろう。
何もかもが空回りしている気がする。
朝のストレッチは欠かさず続けてる。
入りの挨拶は必ずきちんとやってる。
基本的な事を手を抜いたら、すべてに影響するから。
地道にコツコツやっているのに、結果がついてこない。
一人でもがいて。
答えが見つからなくて。
どうしていいのかわからず、ぐるぐるしている。
何もかもやりたくなくて
人と一緒にいても、どこか居心地が悪くて。
気持ちがついてこない。
特段いやな事があったわけじゃないのに。
私どうしちゃったんだろう。
直紀さんに相談できたら。
でも、こんな答えもないぐるぐるしている事、どうやって口火を切っていいのかもわからない。
何か新しい事に手を出してみたらいいのだろうか。
そんなお金もないし、何をどうすればいいのかもわからない。。
直紀さんが『どうした?』って声をかけてくれたらいいのに。ちっとも私のことは見てくれなくなってしまったのかな。
忙しそうだし、時間もらうの悪いし。
「門限過ぎてる」
「はい」
「彩花?」
「・・・すみませんでした」
「反省してるのなら、いい」
え?
なんで?絶対にお仕置きされると思ったのに・・・。
思わず直紀さんの顔を見上げたら、視線が合って、気まずくてすぐそらした。
どんなにお願いしても、お仕置きは決して無しにはならないのに。
お仕置きもしないってこと?見放されちゃったの?私?
どうしよう。どうしよう。
ゴクッ。
「あの、直紀さん、私にお仕置きしないの?」
「なんだ?してほしいのか?」
「して欲しくはないけど、お仕置きされなかった事今までなかったから」
「どっちだ?お仕置きされたいのか?」
・・・
「だからされたくは、無いんだけど、だけど、見放された見たいで。どうしようって思って・・・」
「単にかまってほしくて、察してほしくてというきっかけづくりで、わざと遅く帰ってくるような子に躾けた覚えはない」
「そんなくだらない駆け引きに、付き合う趣味はない」
正論過ぎる。
穴があったら入りたい。
心臓がぎゅってなった。
「俺はちゃんと相談するようにといつも言ってたと思うが?」
「直紀さんは忙しそうだったから」
すでに半べそ。泣きそう。泣きそうなのわからないように我慢してるけど、わかっちゃったかも。
「忙しくても、彩花が話したいことがあるのなら、それを聞く時間作る事くらい、訳ないし、時間作れないようなこと、今まであったか?」
・・・
そうだけど、そうだけど
「無いです」
「ちゃんと自分で話をしようとしなさい」
「言わされたという環境づくりをするんじゃない」
「わかったか?」
「はい」
「すみませんでした」
泣きそうでそれしか言えない。
「恥ずかしい・・・」
絞り出すように、ごめんなさいを込めて言ったら、
「恥ずかしいと思うならするな」と言われてしまった。当然だ。
「直紀さん、忙しいと思って話せなかった」
「彩花が頑固で、意固地になって言えなかった事について、俺を理由にするんじゃない」
「俺はいつでも聞くといってあったし、そのために時間を作ることはいとわない」
「はい」
ええい。このタイミングは逃しちゃだめだ。彩花ガンバレ!!
「直紀さん、遅くなってすみませんでした。それと、話聞いてもらえますか?」
怖くて下を向きながら一気にいう。
「まったく、頑固にもほどがある。相談というのは、相手の言葉を聞く準備ができている状態でするんだったよな?愚痴とは違うだったよな?」
「話聞くは聞くけど、どっちだ?」
真っ赤だ。私。本当に恥ずかしい。
下向いた顔を無理やりあげさせられた。
顎つかまれた。
消え入りそうな声で、やっという。
「相談があります」
「自分がやらなかった事を人のせいにしない。わかったか?」
「はい」
耳が痛いし、もう、相談もいいやと思うけど、ここで相談やっぱりしないと言ったらそれこそ雷が落ちてきそうだし。
お仕置きされてないのに、泣きそう。
やっと顎から手を離してくれた。
オニ!!!半泣きなんだからね。私。頑張ってこれでも、やっといったのに。
目を見て言わせるなんて。
「一回深呼吸しろ」
???
「もう一回」
「もう一回」
「よし。相談は、お仕置きのあとな」
「え????」
「えーーーー!!!!」
「なんだ?お仕置きして欲しいといったのは彩花だろ。
「それにわざと門限破ったんだ。相当痛いから覚悟しろ」
わざとっていうか、無意識でそういう行動になってしまった訳で・・・。
うそ。
お仕置きして欲しいなんて言ってないし。
「お仕置きして欲しいとは・・・その、言ってないです」
「してほしくて、門限破ったやつが何言ってる」
「膝に来なさい」
恐る恐る、膝に乗る。のろのろしても、そのときは来てしまう。
「痛い!痛いです。痛いです」
「直紀さん、痛い。そんなの無理。彩花無理。痛い」
お尻の下の方ばかり。痛いよ。痛いよ。と思っていたら、さらに痛くなった。
最初から痛かったのに、今となっては、最初の方が痛くなかったなんて。
「直紀さん、ごめんなさい。彩花、反省してます。もう絶対に、絶対にわざと遅くなったりしません」
「ちゃんと相談したいことがあるときは自分から言います。だから、だから」
「だから何だ?」
「だから、お仕置き終わりにしてください~~~~」
「ダメ」
「やだー。痛い。痛い。だって、痛い。こんなに痛いと思わなかった」
「俺をなめてるからな。綾香は」
「ちょっと遅くなって、ちょっとお仕置きされて、話聞いてもらおうなんて、くだらない」
くだらない…て言われた。
「二度とそんなことしないように、躾ける」
「反省してます。二度としません。本当です。本当です。直紀さん本当です」
のどがカラカラ。
痛い。本当に痛い。
手が一向に止まらない。
お仕置きしてなんて、言ってないのに。
無意識でも、悪さしたら、きっかけができると思っていたんて、私。バカだな。
「相談しようにも、考えがまとまらなくって、訳分からなくなってたんです」
「自分で整理できてたら、人に相談の必要ないだろう」
「わからないまま、聞けばいい」
「えーーーん。そんなのわからなかったもん」
「表現しなかったら、何を考えてるかわからないんだぞ。自分のことは自分で表現しろ」
「わかりましたー」
「表現者が表現をさぼってどうする」
「だから、もんもんとするんだ」
へ?そうなの?
「よし。お尻冷やしたら、話を聞こう」
私が表現することをさぼっていたから?
聞いてくれたら・・・なんて受け身でいたから?
そんなシンプルな事なの?
ジンジンするお尻に冷たいタオルが気持ちい。
マジで痛かった。
「でも、でも自分の弱みってなかなか人に言えなくて」
お尻の上にタオルなので、必然的に顔はソファーに隠れる。
今度は顔が下に向いているのをいいことに、そのまま呟く。
「でもじゃない。それを言葉で言わないから、変な事になるんだろ」
「察して欲しい。察してもらえないという変なループに入って、それで落ち込んでいるのなら世話ない」
「ごめんなさい」
思わずもっと顔を隠す。
「素直が一番。もんもんと朝のストレッチしても、成果がでないのは当たり前だ」
ぎく。
何もかも、お見通しの人に、これから自分の言葉で悩み相談するのか・・・。
ちょっと気が重いけど、引き下がれない。
何をどう切り出していいのか全然わからない。お尻冷やしている間、どうしようと思っていた。
でもいざ、直紀さんに話をしてみると、客観的視点で、私がいまどういう立ち位置にいるのか適格に話してくれる。
怒られる事も、叱られる事もない。
緊張することもなく、自然に話せてる。
話を聞いてくれて、私も直紀さんの話を聞く。
それだけの場であったが、それがどんなに私の心に染みる時間になったことか。
直紀さんの体験や、経験から語られるその言葉。
私がつたない言葉で、支離滅裂な内容だと思いながらもポツポツ話したことが一つの流れとなって
広がる。
そんなシンプルな事だったのかと、驚く。
「直紀さん・・・。直紀さんってやっぱりすごい」
「ん?」
「私、これからも、相談していいですか」
「話聞いてるのか?いつでも時間は作れるって言ってあるだろ」
「念のため確認したくて」
「しつこい」
「それより、お仕置きされないように頑張れ」
ポンポンと頭なでてくれた。
いじわる。
でも、すごくすっきりした。
そして、課題がたんまり。
「目に力が戻ったな。あとでもう少しお尻自分で冷やしておいた方がいいぞ」
ぞっ。やっぱり。相当叩かれたと思ったけど、厳しくしてる自覚あっての、あのスパルタ・・・・。
それができるって・・・、そうだと思っていたけれど、すごく厳しい人。
手を抜くことをしないでその場での最善をする人。私もある意味そうでありたい。
「返事ができない子は・・・」
「はい!!今しました!!」
「行ってよし」
恐ろしい。油断してた。私。。。
~蓮の花~