道5
2013/06/17
「俺は終わった事は引きずらないから」
「まあ、彩花はお尻痛いだろうから座る度に引きずるだろうけど」
頭なでられて、いい気になってたら、いじわる発言。
でも、今日は連れて行ってもらえるのが嬉しくって仕方ない。
もしかしたら、皆から昨日の直紀さんの話とか聞けるかもしれないし。
「彩花ちゃん、叱られちゃった?ゴメンネ」
「あ。美穂さん」
「大丈夫です」
「直紀に昨日、いい加減にしろよ。って怒られた。ホントゴメン」
「外出禁止の罰だなんて・・・。彩花ちゃん、昨日の振り付け楽しみにしてたの知ってたからさ。ごめんね」
「ううん。悪いの私だから」
「昨日の、直紀さんどうでした?」
「彩花ちゃん、可愛いね。本当に直紀の事憧れてるんだ」
「だって、直紀さんは特別です」
「分かった。私彩花ちゃんの事応援するよ」
「応援って。私、憧れてるだけです」
「うん。憧れね。でも応援する」
そういって、昨日の話をしてくれた。
きらきらと輝いている姿を想像して、喋ってたら、始まる時間になってた。
本当は、準備しなきゃいけない事があったのに。
ゴツって拳骨が降って来て、「たるんでる」って怒られた。
怖い顔にすぐに謝って、きびきび動いた・・・つもりだったんだけど、やっぱり
ふとした瞬間にお尻が痛い。
お尻の下の方が、座ると痛い。そうか、座ると痛い所を叩いてた?
そうだとしたら、やっぱり、鬼だー。
そっーと椅子に座ったら、鬼と目が合って、あわてて、真面目な顔をしてみた。
あれ?笑われた?なんか肩震えてたと思う。。急に後ろ向いたけど?
気のせいだね。仕事頑張らないと、田舎に帰されちゃう。
今できる最高のものを常に出し切りたい俺としては、仕事場、そしてパフォーマンスの場では全力。
自分自身のトレーニングもそうだけど、
兎に角皆の怪我が無いように。
そこにいつも気を付けている。
だから、休憩時間以外で緊張感が無くなるような事が無いように目を光らせてるんだが。
まったく、彩花は。
叱られたばかりだとというのに。
美穂がいけないのもわかってるんだが。たるんでる。
センターに立った直紀さんがカッコいい。同じ振付なのに、なんで?
直紀さんがやると、軽やかで、美しくって目で追ってしまう。
部屋の隅に置いた椅子に座って、こっそりと見せてもらえる幸せ。
群舞でそろってるのも美しいんだけど、群舞でも直紀さんをみちゃう。上手い!
振りはじっとみてカウント数えて頑張って覚える。
段々わかる。直紀さんの振り付け。もう絶対お留守番はいや。全部みたい。
解散となって、直紀さんの着替えの間に、スタジオに忘れ物が無いかとか、細々とチェック。
楽しかった。
もっとちゃんと仕事がしたいな。
「直紀、楽しそうだな」
「ん?」
「悪く無いじゃないか、彩花ちゃん」
「そうか?」
「ついに泣かせちゃったんだろ?ても逃げ出さなかった」
「根性ありそうだし」
「お前そう言うところ意外に鋭いな」
「ま、直紀が楽しそうでよかったよ。俺としては」
「ふざけんな」
「よかった。よかった」
ちくしょう。所詮悪友。結局、俺をからかって楽しんでるだけだ。
帰ったら彩花はお説教だっつーの。
「彩花、荷物置いたらリビングな」
「はい」
あれ?ちょっと声が・・・。怒ってる風?
「今日、お尻痛かったな。よく頑張った」
恥ずかしくって下を向く。
「でも、たるんでたな?」
あごを指でくいって持ち上げられて、顔を無理やり上げた先には痛い視線。
ビクッ。
「どう?」
「彩花?返事は?」
やばい。泣きそう。あわてて、下を向く。
「昨日、見られなかったから。今日、直紀さんの踊り見れて、つい嬉しくなって」
「たるんでたんじゃないのか?って聞いたんだ」
「膝においで」
「や。やああ。痛いのもうやだ」
「昨日お仕置きされて、今朝もお仕置きしたのに、俺が言った事忘れた?」
「返事は必ずする事」
「選択肢はふたつだけ」
ずるい。そんなの。
「痛いの怖い」
「ちゃんとやらないからだろ」
「ちゃんとする?」
「する」
「これからちゃんとできる?」
「できます」
「膝においで」
ああ。それは許してくれないんだよね。なんとなくわかってたけど。
数ミリ動いたけど、またお尻出すのかのと思うと恥ずかしい。
あんなにカッコ良い人に、私はちっぽけな取るにならない人間なのに、迷惑かけちゃう。
「仕方ない。10発追加」
そういって、膝に無理やり乗せられて、お尻を叩かれた。
ああ。今日は服の上からにしてもらえるんだと思ったのもつかの間。
「パンツ下ろすぞ」
ってぐいって下げられて、悲しい。
「痛い」
「やあ。そこ、座ると一番痛い所だもん」
「やだ。やだやだやだ」
「悪いの自分でしょ」
「痛い」
「それいたいよー。直紀さん、痛い。ごめんなさい。ちゃんとする」
「返事する」
「仕事場で集中します」
「なんでもやるから」
「やああああ。痛いよ。痛い。痛い。ごめんなさい。痛い」
自分が何を言ったのかもよくわからない。ただひたすら痛くて、
手が止まる事だけを願ってた。
声が枯れて、痛くて死んでしまうのかもしれないと思ったのに、
全然手を止めてくれない。
「ちゃんとやる?」
「やりますー」
何度目かの確認でようやく「よし」の言葉が聞こえた。
ふえーーー。痛い。
「膝の上に乗せられるような事しないように、自分でちゃんと考えて行動する!」
「わかった?」
「はい」
しょんぼり。
折角連れて行ってもらえたのに。
「じゃあ、お尻冷やすから」
そういってタオル乗せてくれた。
「まったく、お尻これじゃ、もたないだろ」
「もない。絶対にもたない。もうちょっと優しくしてください」
「こら。調子に乗るな」
拳骨かと思ったら、ふわっと髪をなでてくれた。
女心がわからなくったって、こんなことされたら、私全部許しちゃう。
えーん。顔上げられない。恥ずかしい。ちょびっとだけ優しくされるとほろりと心が揺れる。
でも全体的には
厳しすぎるよー。泣いちゃうよー。
~蓮の花~