道28

2020

することないなー。

 

公演も中止

オーディションも中止

練習も、密集しないようにという事で、場所は使えるけれど集まるという事は控えるようにとのお達し。

 

踊れない

表現できないってストレスがたまる。

 

世の中の動きで仕方ないし、流行ウイルスは刻一刻と世の中の様子を変えるわけだし、

手探りの中でルールを決めているのだからと思うけれど。

 

このまま環境が続くのかな。表現者として何もできないのか・・・という焦燥感もある。

 

「吉沢さん来るの?」

 

「ちょっと編集頼んでるのがあるから」

 

「編集って?」

 

「ん。まあもろもろ知りたかったら吉沢に聞け」

 

「直紀さんは教えてくれないんだ(笑)」

 

「俺は苦手だから、何を言われてるのかすらよく分からないからな」

 

「吉沢にまかせっきりだ」

 

「ふーん」

 

 

 *****

しばし直紀さんと話し終わった後、直紀さんはやることあるからと席外してしまうけど、

私が話するならと声をかけてもらった。

 

わーい。直紀さんが頼んでる編集ってなんだろう?

超知りたい!と思って吉沢さにとっておき(といっても直紀さんがお仕事先からいただいたものだけれど)

のクッキーを出して、コーヒーを入れる。

 

 

「体が、固まる感じがします。だって、ストレッチはしてるけど、表現する機会ないと思うとモチベーションが」

 

段々、久しぶりに会えた吉沢さんの前で気がゆるんでくる。

 

 

「彩花ちゃん直紀のインスタ見る?」

 

「え?インスタってなんですか?直紀さんやってるんですか?」

 

「それがさ。奴は何にもできないから、俺が色々編集とかしてあげてるの」

 

「え。まさか、直紀さんが言ってた編集ってそのことですか?」

 

「ああ。聞いてた?アカウント知ってる?」

 

「知らないです・・・」

 

何で教えてくれないのーーーー!一番に♡つけたかったのに!

 

 

「ちょっと待ってね。これがアカウント。あいつ本当に何もしないだろ。でもどこから聞きつけてきて、自分が撮ったものを

シェアしたいんだって言いだしてね」

 

「ただひたすら毎日続けるストレッチ。一言コメント付き」

 

「結構いいだろ?」

 

「えーーちょっと。早く教えてくださいよ」

 

「ストレッチと、たまに踊ってるのはこっちで上げてる。ハッシュタグで直紀のステップ踊ってる人みれる位には

やつも少しはSNSなるものが漸く分かってきたけどな」

 

「まあ、俺もあいつが、パソコンのフォルダに保存したやつを拾って、動画上げるだけしかできないレベルだから、あんまり人の事言えないけど」

 

「コメントは直紀さんが?」

 

「そ。PCの方で見る?」

 

「ここが保存場所で、共有アカウントになってるから俺も見れる。で、ここにテキストでコメントが日付事に入ってるから

それをコピペしてアップするのが俺。甲斐甲斐しく世話焼きだろ?」

 

あんぐり・・・

 

 

 

「これ、私拡散してもいいですか?こんなすごいのもったいない」

 

「いいんじゃない?やつは淡々と今時分にできる事しているだけだろうから。家でちょっとした時間でちょっとした場所で出来るもの」

 

「それが素人向け目線だから、俺はすごくいいと思ってる」

 

本当にいいよ。直紀さん・・・

 

「お酒飲みたいな」

 

「直紀がいいと言ったのなら」

 

「うん。大丈夫」

 

「昼間っから(笑)悪い子だ」

 

「まあ、彩花ちゃんにも話してくれって実は頼まれたんだけどね」

 

え。そうなんだ。

 

「ちょっと気晴らし(笑)」

 

 

直紀さんのすごさに圧倒されつつ、吉沢さんとインスタ見ながらお酒を飲むのは楽しい。

 

直紀さんの指先、私の大好きな視点は多分カメラを固定で置いてるせいか中々見れない。

 

 

 

「彩花ちゃん。自分ができる事。しかも地味な事を続けるのってさ、結構根性いる事だよね」

 

「誰もがやるせない気持ちになってるよ。表現者として、表現するその舞台に向けて練習するものだからね」

 

画面食いつき気味で見てたらふと吉沢さんが私の気持ちを推し量って言ってくれる。

 

「吉沢さんって、良い人ですね。毎回思うけど」

 

「じゃあ、フォローもしたことだし。俺はそろそろ人の動き少ない時間のうちに帰るよ。鬼の角が出ると大変だからな」

 

ふふふ。

 

 

*****

 

 

 

私も同じステップ明日からやろっと。あと、ダンス好きでつながってる私のアカウントで拡散するんだー。

直紀さんファンのフォロワーもいる。

 

 

「ご機嫌だな」

 

「吉沢さんに元気貰いました。インスタも教えてもらっちゃいました!!」

 

「もっと多くの人に見てもらったらいいのに」

 

「俺はどっちでもいい。人が見たいかどうかも分からないが、ちょっとでも気晴らしになる人がいるのなら、やってみようかと思っただけだ」

 

夕食のときの会話。なんだかウキウキしてしまう。

 

「ん?酒飲んだか?」

 

「顔が赤い」

 

「赤くないですよー。飲んでないし」

 

「彩花?」

 

「嘘ついてないだろうな?」

 

うっ。まずい。

 

「や。何でお説教モード?」

 

軽い感じで言ってみたけど。ばれた?

 

「嘘つく子にはお仕置きだからな」

 

「嘘ついてない」

 

「じゃあ、吉沢に確認する」

 

「や。やだ。しないで」

 

 

 

確認しないで。ってつい言ってしまったけど、多分この発言はアウトだよね。

 

「飲んでないんだな?」

 

・・・

 

「返事!」

 

やばい・・・

 

「飲んだ」

 

「敬語」

 

「飲みました。ごめんなさい」

 

「約束守らない子はどうなるんだっけ?」

 

「・・・」

 

やだー。お尻痛いのやだ。無理。無理。だって、そんなの。

 

「・・・」

 

できない。駄目。やだ。絶対に嫌。

 

「返事もしない。約束守らない。その上嘘もついて」

 

「たっぷりお仕置きする必要があるな」

 

「悪い子はお尻にお仕置き。わかったら膝においで」

 

「ちょ、ちょっと嬉しくなって。お祝いっていうか」

 

「口答えするのなら、その分増やす」

 

まずい。

 

なんか、ちょっとお酒飲んで気が大きくなってたかも。

 

缶部屋に持っていてバレないようにしたのに。

 

「膝に来なさい」

 

ちらっと顔見たのがいけなかった。目がマジなんだけど。

怖いよーー。

 

「はい」

 

「聞こえない」

 

うそだ。聞こえてるはずなのに。返事ちゃんとしたのに。

 

「はい」

 

それでも声を大きめにして返事をする。やだ。やだやだ。

 

やなのに、膝に乗るのだって、こうしてスカート捲られて、パンツおろされるのだって、

本当に嫌なのに。

 

パチン パチン 何も言われず、パチン、パチンと始まる。

 

うっ。と痛さで声が漏れるけれど、直紀さんが何も言わないから、居心地が悪い。

 

何か、言って欲しい。。。

 

「ごめんなさい。反省してる」

 

「反省してますだろ。敬語といったはずだ」

 

そういって痛いのが一つ降ってきた。

 

「はい。すみません。もうしません。お酒飲まないから」

 

「直紀さんに言われた事守るから」

 

「嘘はつかない。わかった?」

 

「わかった。わかったから」

 

「から?」

 

「あーーーん。やだ。何でもない。何でもないです。わかったからーー」

 

「だから、『から』というのはなんだ?続きを言え」

 

「続きないです」

 

終わりにして欲しいという言葉が続くのわかってての追及。

 

「もう反省しました。本当に痛い。痛い。無理」

 

パチン。パチンと続くお尻への痛み。同じペースで、ひたすら痛い。

 

「無理かどうかは俺が判断する」

 

だって、数叩けれてだいぶ痛いんだよ?

 

「躾のなってない子はしばらく膝から降ろすわけにはいかないな」

 

うそーーー。もう無理。痛い。やだ。もう無理だって。

 

「やーーー。だって、インスタ一緒に見たい」

 

「そんなの後でしろ。今はお仕置きされてる理由しっかり反省しろ」

 

「だって、もうしてるのにー」

 

「減らず口だな」

 

「違うの。本当に違う」

 

「やだ。やだ。足組まないで。足組むともっと痛くなる」

 

・・だって、そんなに悪いことしてないし

 

「反省してるのか?」

 

してる。してる。してる。手が止まったので、これはチャンス

 

「してます。もう絶対に隠し事しません。嘘つきません」

 

そっとお尻を手で隠す。

 

うわっ熱いし。

 

「まあ、吉沢と行っといて、やつがお前がお酒飲んだの報告しないと思うのが甘いな」

 

「え。最初からバレてたの?」

 

「知ってた。速攻連絡が来た。顔は赤かったが、吉沢に言われなかったら分からなかった」

 

ハメられた・・・

 

「吉沢さんのせいで、お仕置きが厳しくなった~~」

 

「こら。吉沢のせいじゃないだろ。やっぱり反省してないな。膝組むのは無しにしようかと思ったが、たっぷり反省しろ」

 

そういって、隠してたお尻は、手を戻すように言われて、渋ってたら腰の所で押さえられて、瞬間痛いのが降ってきた。

 

パチーーーン

 

うっ。激痛。や。やだ。段違いに痛いそれもう無理。逃げようとするのに、逃げられない。

 

わーーーん。痛いよう。

 

「吉沢さんのせいじゃないです。わかってて、ちょっと、ちょっと言いたくなって」

 

パチン パチン

 

「言っていい事と、いけない事があるよなー」

 

いや。どんだけ痛いの?無理だし。お尻限界だし。

 

「もうしません。本当に反省してます。隠れてお酒飲んでごめんなさい。直紀さんの言いつけ守ります」

 

「反省してるんだな?」

 

はっ!!終わりの気配では?ありがたい!!

 

「あと50で終わりにするかな」

 

ご、ごじゅう・・・

 

鬼。

 

 

そうだった。鬼だった。鬼の角をはやしちゃいけなかったのに・・・

 

痛さに泣いて、泣いて、きっちり50発叩かれたのだと思う。数なんて分からないや。

 

膝から降ろされて、お尻は冷やしてもらったけれど、解放された今でもズキズキする。

 

うつ伏せになりながら、画面に映る直紀さんのしなやかな動きに見ほれる。

もっと早く教えてくれたらいいのに。

 

日々コツコツ。私してなかったな。やれる事、あるのに、してなかった。

 

反省。

 

そして、巨匠の偉大さに圧倒される。

 

 

表現者として、舞台というこだわりを持ち過ぎていた。

 

出来る事を何も試してなかった。

 

 

SNSなんて、やったこともない人が

吉沢さんの助けをわざわざ借りながら、自分のできる表現をしていた。

 

それを知るのはショックに近い衝撃だった。

 

私の師匠は、顔もいいけど、心も男前だ。ムネアツ。誰よりも努力家の人が舞台が中止になって悔しくない分けないじゃないか。

 

 

私も明日からガンバル。

そして、一生ついて行きますって改めて思った。

 

尊敬。一生頭が上がらないな。

 

 

 「よし。膝から降りてお尻冷やそう」

 

やっとお許しが。

 

「それで、お酒は常時部屋に隠してあるのか?」

 

うっ。膝からそろりと降りたものの、新たな危機。

 

「た、たまたまあっただけで」

 

駄目だ。何言ってもアウトだ。

 

「残ってるものがあるのなら、全部持ってきなさい」

 

「はい」

 

部屋に取りに行って、見せたらどうなるんだろう・・・という恐怖のまま提出した数本ストックのお酒は没収された。

 

「飲みたいときは俺に先に言ってからだ」

 

「はい」

 

「声が小さい」

 

「はいっ」

 

「悪さした罰と、隠し事した罰を受けたばかりだから、わかるよな?」

 

な、なにをでしょうか。

 

「追加な」

 

・・・

 

やっぱり。そうですよね。

 

でもお尻はもう無理だと言ってるわけで、

 

「少し冷やしてから再開する」

 

冷やしてはくれるんだ。ちょっと安心。でも、続き宣告で複雑。

 

 

「なんで吉沢さんに編集頼んだんですか?私だってそれ位できるし、私やりたかった」

 

「ん?吉沢はやりたいかやりたくないかは言ってくるが、お前に最初に言うと、俺とは上下関係があるから嫌だったとしても断れないだろ」

 

 

え。。そんな事配慮してくれてたんだ。

 

「まあ、やるかどうかは分からなかったし、続くかどうかも分からないしだが、彩花が作業したいのなら、吉沢に話しておく」

 

「すごいやりたい。暇だし」

 

「まあ、暇だわな。俺は、今自分が出来る事を地道に楽しむ期間だと思ってる。この先は分からないしな」

 

「楽しい事を彩花も見つけてやればいい」

 

「はい」

 

「始めるぞ」

 

さっとタオルを取られた。

 

えっ。話の流れ的には、それは楽しい事ではないからやりたくないのだけど。

 

「追加にさらに追加されたくなかったらサッサと膝にのれ」

 

鬼!分かってる。絶対分かっててやってる。この人。

 

「はい」

 

「追加いらないです」

 

うらめしそうに、呟くな。ま。そんな風に言われたところで、俺は全然揺るがないけどな。

躾ける時は最後まできちんと甘い顔はせず、厳しく躾けるのがモットーだから。

 

 

「はじめるぞ」

 

パチン

 

痛い!!!!!

 

全く手加減が無い。

 

「吉沢パシリに酒もってこさせるなんて、まったく」

 

「残った分を自分の部屋に隠すとはさらにけしからん」

 

なんだ。全部わかっちゃってたんだ。

 

もう、何も言い訳できない。ああ。ほんの出来心だったんだけど。

 

「痛い。痛い。直紀さん、痛い。反省している。」

 

「あ。反省してます。け、敬語も使います」

 

まあ、そろそろ許すか。

 

「反省しているのなら、あと10で終わり」

 

やった!!! 我慢できる。頑張る。

 

「あああああ。無理。無理。膝組むの無理。いったーーーーーいいい」

 

 

全然、甘くなかった。

 

必死にごめんなさいいって、叩かれるたびに逃げようとして怒られて、

でも、追加は無くて10で終わった。

 

全然優しくないけど、でもきっとちょっとおまけしてくれたのかな。

 

「編集の件は、あとで吉沢に連絡して、あいつから連絡するように話しておくから、2人でどうするか決めてくれればいい。

俺はただ置き場所に動画を置いておくのと、コメントはテキストで更新しておくやり方のままにさせてくれ」

 

「はい。全力でやります!」

 

「泣いてたんじゃないのか?ニコニコだな」

 

「直紀さんは自分の踊りが人を幸せにしているの気づいてなさすぎです!」

 

「俺の事をそうやって怒るのはお前と数人だけだな」

 

 

 

 あれ?頭撫でられた。なんで?

 

でもなんか嬉しい。仲間に加わったのもあるし、直紀さんの動画を切り取ったものでなくて全部見れる。

 

「撮ってる時、そばで見ててもいいですか?邪魔しないから」

 

「カメラ置いて一人でやってるだけだぞ」

 

「どうぜ後から見れるだろ」

 

「その場で自分の目で見たいから」

 

「好きにしろ」

 

やった。定点カメラと自分その場で見るのとは段違い。

目が吸い寄せられてしまう、瞬間の指先の動きとか、

あるいは、視線とか、同じ空間でその場で見る事ができるのとはやっぱり違う。

 

今は退屈な日々だけれど、工夫したら少しは普段できなことが出来るし、それが楽しみになることだってあるのかもしれない。

 

情報が氾濫し、批判ばかりする人がいたりと嫌な事ばかりだし、不安もあるけれど、

 

そして、何よりも最悪な事にお尻が猛烈に痛いけれど、直紀さんに目をかけてもらってる。これは特権でしかない。