アオ2

2015/2/13

「今度の土曜日、学校終わったらウチに来れる?お兄ちゃんが例の件、話ししたいって」

来た!

「うん♪」

「初めてだし、流石にお兄ちゃんもふーちゃんにはそんなに、厳しくはしないと思うんだけど、とにかく、素直にだからね?」

「ね?」

「知美、私ライブ見れて本当に良かったんだ。甲斐君の事がますます好きでさー」

まあ、
何も、私が怖がらせても仕方ないし。
兄貴の裏の顔は、見た人じゃないと、分からないし。

「今週末は親が留守にしてるからさ、その時にって」

「あ。ご両親いらっしゃらないんだ」

一応、お兄ちゃんも気を使ってるんだろうな。お仕置きしてそのまま帰すのは心配だから
泊まれるのなら、ウチに泊まれるかも聞いとけっていってたし。

ふゆこ、私が介抱するからねー。

そんな事を私が心配してるのも知らず、ふーちゃんはご機嫌で、一旦荷物を取りに家に帰ってからやってきた。

「お兄ちゃん帰って来るの8時過ぎだって」


「知美のお家にお泊りなんて、何だか楽しい」

ふーちゃんはそう言って、なんだか楽しんでいる気配すらある。大物だよ。

お仕置きする時の兄貴は本当に、半端無く厳しいんだから。
ふーちゃんが気の毒くでならない。

私が練習に誘ったりしたから…。って言ったら、ふーちゃんは全力で否定した。
自分がこういう事が好きだって知れたのは、私が誘ってくれたおかげだからって。
そう言ってニコニコしてる。

お菓子食べながら、
いつしかお互い好きな人話しに花が咲く。

笑顔でお兄ちゃんのこと話すふーちゃんがいじらしい。

ふーちゃん、本当にすきなんだな。
なのに・・・叱られない、私の方が憂鬱になっちゃう。


兄貴の裏の顔知ったら、ふーちゃんは兄貴の事、嫌いになるのかな。


ウチは、もとは、母親がピアノ教えていた時に作った部屋がある。
今はお兄ちゃんがギター練習する時にも使ってる防音室で、ほとんどお兄ちゃんの部屋になってる。

で、私は、お仕置きされる時は決まってそこに呼び出されるから、必然的にいかない様にしてる部屋。
お仕置きされなくても、なんとなくあまり行きたくない。

帰って来るなり、着替えて来るっていって、いつものようにグレーのスゥエット姿になって戻ってきた。

Tシャツとスゥエット。
うん。
妹の私がみても、ちょっとかっこいい。



「ふーちゃん、じゃあ、本題に入ろうか」

兄貴のその言葉に二人を見送る側の私が緊張しちゃうのに、本人はまだ夢の中なんだな。これが。




「おいで」

あ、甲斐君が私の手を握る。
幸せすぎて赤面。



ガチャっとドアが閉まると、そこは甲斐君のギターが置いてあって、
コーナーにソファーとテーブル。

あそこに座って、曲作ったりするのかな。

小さい部屋だけど、何だか居心地が良い空間。


「座って」

ソファーの端に座ると、
私の右にオットマン持ってきて
角はさみで甲斐君が接近。

おお!


「この間のライブハウス、すっごく良かったです」

「ふゆこ」

え・・。

いきなり、”ふゆこ”にドキリ。
ふーちゃんっていつも呼んでくれてるのに。

一方的に見ているだけの人が目の前に、二人っきりの空間に居る事だけで、もうクラクラする。

最近は大嫌いな物理の授業中も、甲斐君の事さえ考えていればあっという間に時間過ぎる程に私の癒し。
甲斐君が奏でるメロディーが頭の中でぐるぐると踊り出すと、
今まで眠さと戦っていた授業が嘘のよう。

同じ聞いてないには変わりないけれど、
目を開いている分だけでも、授業態度はましなはず。


ふーちゃんって呼ばれるのも、すごく好きだけど、

ふゆこ

って呼び捨てにされるのだって案外悪くない。


そりゃ、私だって、ここに来るまでには色々と考えた。

本当にお尻ペチンなんて叩く事あるのかな? 無いと思うけど、万が一お尻叩かれるような事があったら、
何回叩かれちゃうんだろう?とか。

一回ペチンってされるのかな?

でも、一回って事はないのかしら?とかね。

思うものの、お仕置きされるというのが、どういう事なのかいま一つ現実感が無くって、
甲斐君にまた会える方で気持ちが一杯だった。

その甲斐君に、『ふゆこ』って呼ばれたら、キュンと来るのは仕方ないよ。