アオ15
バレたらその時はその時だよ!
と知ちゃんと根拠は無いけど、 バレない確率の高さにかけて出かけたライブ。
『久々にお仕置きされた(泣)』というラインにしばし固まる。
ということは、
ということは.....
それって、もしかして?
『お兄ちゃんから』
『ふーちゃんに話しがあるって伝えておくようにだって』
ああ!
『お兄ちゃんがふーちゃんからお兄ちゃんに電話かけなさいって言ってる』
ごくっ。
思わずつば飲み込んだ。
ラインじゃなくて、電話?
しかも、私から電話しなきゃいけないなんて、動揺半端ない。
『わかった。ともちゃん、また連絡するー』
そう打ってからスマホをベットの上にポイッと投げた。
電話?
電話なの?
説明できるように考えてから甲斐くんに電話しないと。
でも頭真っ白。
ドキドキドキドキ 鼓動が早くなって、頭は真っ白。
どうしていいのか分からない。
投げたスマホから着信音が。
『ちなみに、今すぐかけるようにって。かけてこなかったら、 わかるよね?って打ちなさいって言われたー』
あきらめた。
多分、知ちゃんお仕置きされたばかりで、その横に鬼がいる。
最初に、『今、家?』 って聞かれて能天気なスタンプ送っちゃったから今更外だなんて言 えないし。
どうしよう
どうしよう
ああ
どうしよう・・・・
『ふーちゃん、そろそろ本気でヤバイ』
という表示が見えた途端に
着信
「ふゆです!」
「なんか言うことは?」
気のせいか、声が怖い
すごく低いいい声・・・。のように聞こえた。
怒ってるよー。甲斐くんが怒ってる。ヤバイ。
「電話かかけるようにというのは見たの」
「見たんだけど、 甲斐くんが怒っていたらどうしようって思ったら、怖くて、 怖くて、すぐにかけられなかったの」
ものすごい早口で一気にまくしたてる。
「怒ってる」
ひー。
そ、そう言われると何も言えなくなる
「怒られる事しといてその態度なの?」
「 許可してないライブに隠れて勝手に見に来た事だけでも怒るには十 分な理由なのに、
さらに約束破った事について、 ごめんなさいも言えないんだから怒らないわけ無いよな?」
....
どうしよう。
なんて返事したらいいの?
「知美はお仕置き受けたぞ。ふーちゃんはどうする?」
いや。
お仕置きはいや。
...
...
「一旦切るから」
「うん。あ。ハイ」
プツッと切れた甲斐くんからの電話。
どうして、せめてごめなさいって言わなかったんだろう。
『甲斐くん、ごめんなさい』
送ってみるものの
返事なし
既読にはなってる。
はー。
電話しろって事だよね。
「もしもし、甲斐くん?ごめんなさい」
しーん
「甲斐くん。聞こえてる?」
「聞こえてる」
全然優しくない声!
全然優しくない態度!
びっくりだ
怒ってるのは知ってるよ。
知ってるけど、だけど、
少し助けてくれたっていいのに。
「甲斐くんのするお仕置きは痛いから、怖いから!」
.....
なんだ??ふーちゃん、やっとかけてきたと思ったら?
「だから?」
だめだ、吹き出さないように我慢できるか?俺?
それなりに、悪いことしたっていう自覚はあるのかな??
しかし、感情赴くままの
支離滅裂な会話だなふーちゃん。
ここは厳しい声をだすか。
「どーするんだ?」
えっ?
どうするって?
ふゆこわからない
...
無言か。わからなくも無い。
まったくのノープランだからなふーちゃんは。
勢いで突っ走る熱量はすごいんだが、 ふーちゃんは俺からしてみると天然。
そこが、可愛い所だから助け舟出してやるか。
まったく手がかかるお転婆め。
「今から家においで。お仕置きするから」
「やー!」
「いや?」
「嫌なら、嫌でもいいよ。 俺は悪いことして反省もしない子は仲間には入れない。 それだけだ」
「甲斐くん。今のは嘘だから。うそ。ごめんなさい。 嫌だけどふゆこ超ダッシュで向かいます〜。行ってもいいよね?」
「慌てて転ばないようにな。ダッシュじゃなくて、 ふつー速度でおいで」
冷や冷やさせる。まったく。
猪突猛進すぎる。
ふーちゃんはこんなにびびってるお仕置きされても、 でもライブに来たいと思ってくれてるのか。
有難い。今を聞きたいという、ファンに対して、 本当はそう思ってる。
「ふーちゃん!」
知美に玄関で抱きつかれて、 でも目が赤かったのは見逃さなかった。
「お仕置きされちゃった?」
こっそり耳元でささやいたら、
こくりとうなづく知美。
「ごめん。私が誘ったから」
ぎゅぅっと抱きついてくる知ちゃん。
「いいの。私も自分で行くと言ったんだから」
「上がって。玄関で長話して、さらに怒られるといけないから」
「う、うん」
スリッパを履いて、知った廊下を歩く。
今日も防音室行きかな?
お仕置きが怖すぎてもはや、何も考えられない。むしろ、 考えないようにしていると言った方が正しいかも。
どれくらい痛いものか、忘れちゃった。
もうずいぶんとお仕置きされないで過ごせていたから、感覚は分からないけれど、頭ではしっかり認識している。
『痛い』って事と『オニ』って事は確か。
痛くて、 恥ずかしくてもう絶対に怒られるような事はしないって思ったはず なんだけど。
それくらいに嫌な事だけど
どうしてもライブに行きたかった。
「どうして、 お仕置きされるのは嫌なのにお仕置きされるような事するんだ?」
「知美もそこに座れ」
知ちゃんと目があって、
え?なんで?って二人ともお互いに思ったのが分かった。
「なんで、行く前に俺に相談しない?」
「だめって言うから」
「だめだと言われるとわかってたら、 行かないものなんじゃないのかな?」
「見たかったんだもん!夏休みだし」
「夏休みかどうかは関係ない」
ピシリと訂正してくる。
ちぇ。
「バンドライブが見たかったんです」
「外だし、日中だし危なくないし、夏休みだし」
「許可してない」
「だって」
「この前無断で見に来た時に、ご両親の許可と、 今年は後一回だけならという条件だったはずたぞ」
「黙って来ていいとは言ってない」
「黙って見に来てすでにお仕置きされててるよな?」
「・・・そうだけど」
「どっちが誘ったんだ?」
「ふゆです」
「知美は知美が誘ったと言ってたけど、どっちなんだ?」
「ふゆです」
「わかった。知美は部屋に行ってなさい。 嘘ついた事はあとで話す」
「甲斐くん、知ちゃんは私をかばおうとしたんだと思うよ」
「ふーちゃん。そうだとしても、 知美は隠れて勝手にライブに行った事をお仕置きされたのに、
「わかりたくない」
「なるほど」
「教育し直さないといけないと今はっきりわかった。 ふゆこ、来なさい」
「お、怒ってる?」
「甲斐くん?」
まったく、ふゆこの純粋さというか、天然さといったら! 怒ってる所に油注いでおいてこれだ。
少しここで毅然とした態度取らないと、 ふゆこは自分の立場を理解しないのかもしれない。
まずい!!
肘のあたりをつかんで、歩き出す甲斐君。これってギターのお部屋行きの匂い。
「甲斐くん、ごめんなさい。嫌いにならないで」
「やだ。ふゆのこと、嫌いにならないで」
Tシャツの裾を右手で思わず掴む。
「ふーちゃん」
そう言って振り向きざまに私の目を覗き込むもんだから、 堪らず視線をそらしちゃった。
「ふーちゃんの態度があまりに悪いからね。 ふゆこのお尻は真っ赤になるだろうね」
「お尻真っ赤にされてもしょうがない態度だよな?」
今、真っ赤なのはふゆのほっぺだ。
恥ずかしくなるようなこと言われて、顔が熱くなるのがわかる。
嫌いにならないとは言ってくれない。
甲斐くん、私が欲しい言葉は反省するまで言わないつもりなんだ。
ふゆ、怖くて、嫌われたらどうしようって思ってるのに。
また、怒らせちゃった。
「座って」
「こっち向いて」
「ふゆこ、顔あげなさい」
「はい」
やれやれ、急にシュンとして...
やり辛いな。
「僕が何に怒ってるのか言ってごらん」
やっぱり。来た。
想定通りの質問。
「甲斐くんのライブに行きたくて、知美ちゃん巻き込んだ」
「まあ、誘いに乗って、行くと言ったのは知美だから、それは知美の問題だな」
あれ?そうなの?
「ライブに行ったこと?」
「そうだね。なんでライブに行った事をこんなに怒られるのかな? 」
うっ。
「それは」
「甲斐くんに黙って行ったから」
「それから?」
「甲斐くんに行った事をいわなかったら」
「ダメって言われてることをどうしてやるの?」
「見たかったんだもん」
「行きたいっていったら、ダメって言われると思ったから、 内緒で行った」
「見に行ったこと正直に言わなかったのは?」
甲斐くんのお仕置きは痛いからそんなの自分から言う訳ないじゃん。
正直になんて言えるわけない。
「ふゆこ?返事しなさい」
「お仕置きされたくなかったから」
「悪い子だ」
・・・
だって、だって、見たいじゃん。そんなの。ばれない確率だって合ったわけだし。
今回はたまたま見つかっちゃったけどさ。
「ふてくされた顔して。まったく」
「お仕置きされてでもやりたい事があったら、 これからはまず相談しろ」
「え?行ってもいいの?」
「時と場合によっては、そういう事もある」
毎回これじゃ、俺の心臓が持たない。
ステージに上がって、ふと客席みたらいいつけ守らない、悪ガキがこっそりいるなんて。
「甲斐くーん。ありがとう!!」
「時と場合によってだ」
「わかった?」
「わかった」
ニコニコして。忙しい奴だな。
「相談して、その時に、ダメだと言われたら、約束は守れ」
「はい!!」
やった。思いがけないいい方向へ話が行った!
いままでの回数制限がもう少し緩くなるなんて。嬉しい~~!
「お仕置きは厳しくするから」
「いやー!!!」
天国と地獄を行ったり来たり。ジェットコースター並み急降下かと思いきや
頭に手を置かれて、覗き込まれた正面顔がイケメンすぎる。
ドキドキして、
『お仕置きだなんて嫌!』顔を背けたら無理やりぐいって戻されて「 返事は?」だって。
酷い。イケメンってずるい。
急上昇させて、また急降下。
「はい」
力なく声絞り出したら
「まったく」
という呟きが聞こえた。
あーん。怖いよう。
優しくて低く素敵な声だから余計にビビる。
「それから、電話してこなかった分もきっちりお仕置きするから」
やっぱり。ふゆこのアオレンジャーはそういう事を見逃したりしない。
薄っすらと、そうじゃないかと思っていたよ。
「ふゆこ、返事は?」
「はーーーーい」
「来ちゃいけないと言ってあるのにライブに来た分から始める」
「膝においで」
「もう?」
「もうだよ。来なさい」
しぶしぶ、ゆっくり膝に乗る。
重いって思われたら嫌だな。
なんて思ったら恥ずかしくて、恥ずかしくて、 一層の事早く始めて欲しくさえなる。
「手のかかる悪い子だ」
パチン
パチン
回数が増えるに従って、
痛くて、やっぱりお仕置きは痛かったと思い出してきた。
痛さ我慢したけど、 痛い痛いと頭の中でわんわん自分の声がしてる。
『悪い子』なんて急に幼い子供になったような気持ちになる。
「甲斐くん」
「甲斐くん痛い」
「甲斐くん?」
「ふゆこ痛いから」
パチンという音を沢山聞く程に痛みは比例して強くなってくる。 我慢できなくなってきて、一度「痛い」 と言ったら言葉が止まらなくなる。
蓄積されていく痛みと、
甲斐くんの怖さで、我慢出来なくなる。
「動かない」
そう言って腰に回した手で、私をぐっと抱え込む。
「甲斐くん。だって、痛いー」
「お仕置き覚悟でライブ見に来たんだろ?」
「だって、こんなに痛いと思わないから」
「相当悪い事したんだから、 膝の上からすぐに降りられる訳ないだろ」
「やだ。もうおしまいにしてよー」
「反省しろ」
「してる。した。反省した」
「わかったちょっと冷やそう」
「終わり?」
「な訳ないだろ」
ちぇ。オニ。オニだもん。そんなの。終わりでいいのに・・・
それでも、冷やしてもらったら楽になる。
「見たいからって言うだけでなんでそんな無茶するんだ? ふーちゃんは?」
「甲斐くんが悪いんだから。素敵すぎるんだもん」
「 特に本番は輝いていて、歌声聞けたらサイコーだけど、 歌が聞けなくったって、 そこで演奏してる甲斐くんがサイコーなんだもん」
「本番はやっぱり違うんだもん。観客席からみてると、どんどん気持ちが乗っていくし」
ふーちゃんへの『ありがとう』はお仕置き終わったらだな。
こんなに、熱く見に来たいって思ってるのなら、 自由に本当は見てもらいたい。
高校生にそんな事させられない責任があるだけで、 本当は俺だって見に来て欲しい。
「お仕置き中に俺が悪いだ?」
「ふゆこは、反省ゼロだな」
「膝においで」
もう少し、お尻叩いたら終わりにしよう。それまでは”怖い甲斐君”でいないと、次に何しでかすか分かったもんじゃない。
「ま、まだお尻冷やしてたい」
「ふゆ?」
「追加になる前に来た方がいいぞ」
低い落ち着いた声で、最後通告。
おーおー。ふくれっ面だな。 さっきの熱烈ファン節に免じて見逃してやるけどな。
素直さが可愛いが、まだ君はごめんなさい言えていない。
ふーちゃん。
あんまり厳しくさせないでくれ。
「はい」
ぐいって下されたままのパンツがなんとも、恥ずかしくて、最悪。
「嘘をつかない。約束できる?」
「えー」
「えー。じゃない!」
「はい」
しょんぼり。そりゃそうだ。『えー』なんて言って許されるわけないのに。
おもわず口からでちゃった...
「約束する?」
流せないか・・・な・・。聞こえないふりとか?
・・・
甲斐君返事するまで始めない気だ。
「・・・する」
パチン!
「『甲斐くんに嘘つきません』ほらちゃんと言う!」
パチン、パチン
「甲・・斐くん・・に、嘘・つきま・・せん」
どんどん手が振り下ろされてくる合間に、言いにくい言葉をポツポツという。
「よし」
パチン
ああ…なんてこと…
「嘘ついて、それ隠そうとした分のお仕置きもあったな?」
無視。無視。無視。
「ふゆこ~?返事する練習を別でするか?」
「しない」
ぶすっとそれだけ言うと、パチンパチンと痛いのが降ってくる。
すでに結構な痛みがある中で、これは辛い。
「甲斐くん、痛いです」
「痛いよー。痛いよー」
「ひっっ。痛い!」
どんなに痛いと言っても、甘くならない。
「無理ー。痛いの無理ー」
「無理でも、お仕置きはお仕置き」
ひー。なんか、今日は厳しめ。
「甲斐くん、甲斐くんごめんなさい〜」
「まったく、やっと言えたか」
「じゃあ、お仕置き本番だな」
ひぇ。
「い、今までのですごく、痛かった」
「そう?」
「ふゆ、反省してるの伝わってるよね?」
これ以上なんて無理だもん。
思わず叩かれないようにお尻を手で隠す。
「ごめんなさい言えない子は反省してないよな?」
ぐっと手を腰のあたりで抑えられて、あっけなくお尻は無防備な
状態に戻ってします。
「違うの。違うの怖くて頭、真っ白だったから」
「言い訳しない方がいいぞ」
「今からライブに来た分と、嘘ついた分、それと、電話できなかった事に加えて、その反抗的な態度についてお仕置きする」
パチン!パチン!
わー。痛いの!!!来た!!
さっきより痛い!
「勝手に夏休みだからとか、昼間だからとか理由作って、 本当にいけない子だな」
「ごめんなさい。ごめんなさい。甲斐くん、めっちゃ痛いの。 さっきの数倍痛くて、ふゆ無理なの」
もがいて、なんとか避けようとするけど、 がっちり押さえられていて、逃げ出せない。
手で隠せたらいいのに、それもさせてもらえない。
「無茶して、隠し事して、それなりの罰は当然だろ」
「やー。だって厳しすぎるもん」
「甘かったら、ちょくちょく悪さするんだろ?」
「そーだけどー」
「そーだけど??」
パチン!!
ぎゃー!恐ろしく痛い!!
「やーーーー!痛い!!」
「まって、まって。や。や。痛いのやだ。それ痛かった」
「甲斐君、今・・のは・・・言葉のあやで。そんなこと、ふゆ思ってないから~」
まったく、裏表なく素直なんだが、こーいうときは、 それ言ったらダメなやつだろ?
俺だって、ちょっと叱るくらいにしときたいのに、
終わりたくてもこれじゃ終われない。
「甲斐くん」
「甲斐くんごめんなさい」
10発厳しめにして膝から下ろした。
「お尻冷やすから」
冷たいタオルで冷やすと、段々呼吸が安定してきたみたいだ。
今なら話しがちゃんと聞けるかな?
「ふゆこ」
びくっ
もう、もうこれ以上お仕置きやだ。
「反省した?」
「反省しました。甲斐くん、隠し事して、 内緒でライブ行ったのはごめんなさい」
「次からは相談。いいね?」
「うん、あ、うんじゃなくて、ハイ」
「悪いことした時は、自分から正直に言える?」
「お、お仕置きしない?」
「する」
「えー」
「どうする?」
...
意地悪
意地悪
返事するまで見逃してくれないのわかってるけど…もう一度膝に乗るのはもっと嫌。
「ふゆこ?」
「甲斐くんに正直にいいます」
ぶすっとした声だな。
まあ、言えた事は頑張ったしな。 流石に散々今までお仕置きしてきたから、 ここで反抗はできないよな。ようやくわかったのか?
「よし。約束だ」
やだー。約束なんて、やだー。
「さ、だいぶ反省したみたいだから、 今回の悪さ分のお仕置きして終わろうな」
「ま、まだあるの?」
「ある」
「オニッ」
オニか。思わず吹き出しそうになる。
「お仕置きはする。 ちゃんと反省してる状態で悪い事した分のお仕置きをする」
「 今までのは口先だけで反抗しまくりのふーちゃんだったから、 お仕置きとしてはカウントしてない」
ぐうの音もでない。
「膝においで」
「まって、まって」
お尻を手で隠す
「痛いの無理」
「わかった。手どけような」
そう言って私の腰のところで、再び、手首掴んで捻り上げた。
ガチッと押さえられて動けない。
パチン パチン パチン パチン
「やーーー!痛いの無理っ」
「無理っていったのに」
「ひどい」
「ひどいよー」
「きゃー。痛いの!」
「ヤダヤダ。やだ。本当にやだー」
「反省してない子は終わりにしない。 暴言吐いてるうちは膝から降ろさないからな」
「ふゆこが無理でも、お仕置きはお仕置き」
甲斐くんのバカ!嫌い!
意地悪。嫌い嫌い!!
あまりの痛さに意地張ってられなくなって、泣きながら『バカーーー』とは言えずに、
「ごめんなさいー」
と数回連呼したらしばらくして、やっと、 やっとお仕舞いと言われた。
お尻がビリビリ、ジンジンしてる。
「酷い態度だったからね」
痛いお仕置きの後だから、慰めて欲しいのに、 突き放す甲斐くんなんて嫌い。
「ふーちゃんがそんなに、 見に来たいと思ってくれてるとは知らなかった。ありがとな」
「いつも、言ってるのに!」
「それに今それ言うなんてずるい。ふゆ泣きそうだから」
甲斐君の手がまた頭に乗った。そっと撫でてくれる。
「俺なんか、なんで?」
優しい声。
本当にずるい。
こんなに厳しくした後に、『ありがと』なんて。
「カンドーするもん。甲斐くんのステージ」
「ありがとな」
ポンポンって頭撫でてくれるなんて、ずるい。
嬉しくて、言葉は別の事を言ってしまう。
「そんな私にお仕置きするなんて酷い!お仕置きする甲斐君は嫌い。お仕置きなんていらない」
「今までの甲斐くんのお仕置きの中で一番痛かった」
「やっちゃいけない事わかってるのに、あえてしたからね」
「そうだろ?」
・・・
「ふーちゃん?返事は?」
・・・
「ふーちゃん?」
・・・
ふーんだ。そんな意地悪いうアオレンジャーに返事なんてしたくない。
「わかった」
冷やしたタオルが退けられた
「わかってる!わかってます!」
一瞬にして、手でお尻隠したのをまた、 腰のところで押さえられて、ぶるった。
「今回だけ大目にみるけど、返事できない子の躾が必要ならいくらでもするから」
「ごめんなさい」
「パンツ戻したら、部屋においで」
よかったー。焦った。ペチンは回避!!
それにしても、沢山お尻叩かれて、 とくに最後の数回は飛び上がる痛さだった。
怖いけど優しくて。
怖い甲斐くんは大嫌いなのに、 でもふゆの事を本気で気にかけてくれる真剣さは嫌いじゃない。
リビングに戻ったら、 ちょうど涙ぐんだ目のともちゃんが降りてきた。
二人とも目が涙目なの見てお互い笑っちゃった。
それから、なんとなく二人並んで冷たい麦茶飲んでから帰った。
玄関で甲斐くんが、頭に手を乗せて
「あんまり、心配させるな。お仕置きする方も辛いんだぞ」
「こんなに気になる子は初めてだ」
と言ったのは...
もしかして
脈あり?かな?
この世で最高にカッコよくて
この世で私を痺れる演奏家
この世で最高に怖い人で
この世で最高に好きな人
お尻が痛くて歩き辛い。
それでも心の中に幸せが満ち溢れてる。
もしかして、もしかしてだけど距離が少し縮まってきるとか?
2018/10/11
~蓮の花~