アオ11

 2015/05/04

 

お休みだもん。連休だもん。

 

この所、練習には相変わらず入り浸ってる。
今日は連休の谷間で、野外イベントで演奏するって聞いて、『見に来てもいい』って言われてるから
嬉しくってマスカラ塗る手にも気合いが入る。

 

もう。もう。超楽しみ!

女子力をあげねば。ライバル多いからね。ふゆこ頑張る。

この間買ったばかりのちょっとかかと高めのウエッジソールの靴だって、こんな陽気だから出番だもんね。

ともちゃんは他の予定があるから一緒に行く人いないんだけど、一人だって絶対に見に行くんだもんね。
甲斐君が見に行ってもい良いって言ってくれたのが嬉しい~。

ああ。私かなり夢中だな。甲斐君の演奏に。甲斐くんに。

 

 

 

***

 

 

ふーっとため息吐きながらベンチで休憩。

 

 


 

「ふーちゃん?」

 

びっくりした。甲斐君?あれ?

 

「甲斐君、帰る所?」

 

立てないので、目の前にいるその人を見上げる。太陽がまぶしいのか、甲斐君がまぶしいのか・・・。

 

「まだ帰って無かったのか?だいぶあれから経ってるけど?」

 

 

「あ。よ、余韻に浸ってたんだ。そろそろ帰る」

 

 「俺、ふ―ちゃん送って帰るから」

 

なんとなく、待たせていたバンドのメンバにーそういうと、甲斐君が私の目の前にしゃがみこむ。

 

 

「お、送ってもらわなくって大丈夫です」

 

「ふーちゃん、具合悪い?」

 

「ち、ちがっ」

 

「なんでベンチに座ってるの?」

 

・・・

 

「なんで?」

 

「なんかあった?」

 

・・・

 

「ふーちゃん、送るって言って断られたら、俺だって傷付くって考えてみた事ある?」

 

「誰だって、人の役に立てるかな?って思う時ってあるじゃん」

「手を差し伸べたいのに、受け取りれないと拒否される側の気持ちって考えた事ある?」

 

 

「大したことじゃなくって」

 

「ふーちゃん」

 

「お尻ペンしないと言えないの?」

 

またお尻ペンって言った。嫌い。嫌い。お尻痛くされるの嫌い。

 

「ほ、本当に大したことじゃなくって、ちょっと足が痛くなって・・・」

 

「で、立てない・・・とか?」

 

ぎく。

 

なんでわかったの?

 

「演奏聞いてる最中に、突然視界からいなくなって、またひょっこり戻ってきたから、痛めたのかなって」

 

「見てたの!」

 

「見えちゃったの」

 

「ひねっただけだから」

 

「頼ってもいい人間が近くに居るの知ってて、連絡先だって知ってるのに連絡してこないってどういう事?」

 

「だって、迷惑かなって」

 

「ふーちゃん、いい加減怒るよ」

 

こ、怖い。

 

なんで甲斐君怖くなるの~

 

だって、甲斐君演奏した後で、疲れてるかもしれないし、仲間と話とかあるかもしれないし。

ちょっと休んだら一人で帰れるし。

 

「一人で帰れる」

 

「わかった。じゃあ、駅まで一緒に行こう」

 

そういって、無理やりぐいって私を立たせると、手をつないで歩きだした。

 

「ふーちゃん、痛いのなら、そういいな」

 

2、3歩歩いて突然立ち止まると甲斐君が柔らかい声でそう言った。

 

「いたい」

 

「足、足首が痛くて、速く歩けない」

 

「それから?」

 

 

 

 

 

「・・・お、送ってください」

 

「よし」

 

死にたいほど恥ずかしい。

こんな事、自分が悪いのに。迷惑かけたくなんかないのに。

 

「めーわくとかまさか思ってないよね」


・・・


な、なんで甲斐君私が思った事分かったの?

 「黙ったのは、そう思ってたってこと?」

 

敵わない

 

コクリとうなづく

 

 

「やれやれ。送るけど、その前に家に寄り途な」

 

まさか・・・

 

「お尻ペンしないと分からないみたいだから。それと休日で診療どこもやってないだろうから、湿布位家にあるから」

 

「う、うちにも湿布はある」

 

 

 

ふーちゃん、全然わかってないな。頼れっつーの。

 

「ふーちゃん。本気で怒られたいの?」

 

 

あ、いえ。そういう訳じゃ。

 

 「だって、甲斐君もう怒ってる・・・」

 

 

 

 「きょーいくだ。再教育」