本当は弱い。でも弱さを見せたらつぶされてしまうと思っていた。
かといって、強さを表現しすぎると、つぶされる。
だから自分の本当の弱さはひた隠しに隠して守らなければと、隠すために強がって、
意地を張っている事を自分で認められない。
人の目ばかり気にして、人がどう思うかばかりを基軸にして何年、何十年と過ごしてきたから、
表面的なやり取りは達人並み。
でも、誠司にはそれが分かっていたから、厳しい所を指摘してくれてるのを数回会うことによって、
漸くうっすら気がついてきた。
かなりの荒療治。お尻が痛くなるという高い代償でもって、わずかに道のりの入口にたどり着いた段階なんだろうな。
自分の弱さを見せるなんて、吐きそう。
プライドが高くてそれは譲れない。自分の美意識として、許せない。
弱さ見せてどうなるっていうものでもないし、同情や、ぐちは言いたくない。
そんな風に突っ張っていたら、本当の自分の心情をストレートに表現できなくなっていたんだね。
「処世術は、若い時は必要だけど、そろそろ、良いと思うよ。もうそのスキルは身に付いてるんだから、
気を付ける人にはそうすればいい。ただ、自分の感情をストレートに表現しないでこのままの状態でいるかどうかという
道の分かれ目に来た状態で、俺のタロットに辿り着いたんだから、当然表現したいんだろうなって思っただけ」
ある時そんな風に言ってくれて、なんか、凄いなこの人とかって思ってもみたり。
そして、さらにすっとハードルをあげて来る。
「好きな事をしなさい」
そんなの無いのに。
「好きを選択して、自分の感覚を磨きなさい」
「外側の良い悪いの評価で答え合わせをするのは止めなさい」
なんとなくわかるけど、イメージ沸かない。
あいまいに、うん。はい・・・。といったら、「兎に角やってみる事」と言われたんだけど、
わからないや。
そして、雷が落ち、お仕置きとなった・・・。
「分からない?」
「考えて、工夫をしようともしないで、この数週間何してた?」
「毎日、平凡な日々で、面白い事も無かったし」
「面白くない事にも、自分の好きをみつけようと、どうしてしないの?」
「だって、面白くないものだよ?」
「本当に?全く無い?それは決めつけだよね?」
「改札通る時、いつも一番右からとか、そういうのあるでしょ?」
「ある」
「気を付けてみたら、自分で選んでる事は何らかの好きが隠されているのかもしれないでしょ?」
「うん。ああ。まあ」
「そうそう、面白い事なんて最初っから転がってないんだから、それを自分で見つけて育てる位の気持ちが必要なんだよ」
「はい」
「はいって言ったね?じゃあ、やるってこと?」
「よくわからない」
「そうやって、ごまかす。今日はそういうの、許さないからな」
「分からないよ。やってみなきゃ。そりゃ。 ななの好きは、ななだけのものだからね」
「俺が見つけてあげる事はできない。できるのは、そうやって、後ろ向きな姿勢についてお仕置きする事位」
お仕置きって、聞こえたけれど、まさかね…。スル―しておこう。
「七海。今からお仕置きだから」
げっ。正式なる、通告。この人って、こういう追い詰め方するんだよ。
返事させるために。
私の意志を確認してから。もっとも嫌いな瞬間。
「はい」って言わないといけないのはわかってる。でも、言ったら始まっちゃうし、
言ったらお尻が痛い。痛いんだよ。本当に誠意のお仕置きは。
どうしよう。
口の中から言葉が出てこない。
「なな。返事は?」
この『返事は?』は本当は言わせてはいけない言葉なの。
その分態度が悪いって追加されちゃうから。
「はい」
「態度悪いね。その点は、分かってると思うけど、別でお仕置きするから」
ほら。こんな怖い事が言えるんだよ。この人は。
「はい」
でも、スイッチ入ってしまっている今、もはや「はい」と言うしかない。
「やりもしないで、できない。怖い。やらなくてもいいやといった事をする方が、よっぽど美意識にかなってないと思うけど?」
「そこ????」
「そこですよ」
「あ。ごめんなさい。思わず条件反射で。そういうつもりじゃなかったんだけど」
「いい?やってもみないで、出来ないは許さないから」
「二度でも、三度でも、出来ないからという理由だったら、その度にお仕置きするから」
こわいよー。容赦ないんだよ。きっと。
「返事は?」
「はい」
自分で、はいって了承しちゃったよ。どうしよう。
「ちゃんと表現さえし続けたら、お仕置きはしないから。お仕置きが嫌だったら頑張れ」
心の中を見透かされてるかのような、突っ込み。
「ちゃんとする」
「するから、お仕置き見逃して」
「なんで?」
「なんで?って、だって、痛いから・・・。」
「誠司さんのお仕置きは、我慢できないと思ってるのに、さらにどんどん叩かれて、追加とかもあって、それが辛いんだもん」
「辛いのに、何でやっちゃうのかな?自分でちゃんと振り返りも、反省も、未来へのやる気にもつながってないのが残念だけど
覚えるまで、何度でも俺も付き合うから」
「なんか、凄い事言われた様な気がするんだけど」
「約束しちゃったからな。体育会系としては、約束したからには、責任もって最後まで面倒みる」
最後までって、なんだろう・・・。っていうか、責任そんなに持たれてたんて今知ったし!
「あ、ありがとう。でもそこそこに伴走してくれる位でも十分なんだけどな」
「気にするな」
するし!お尻痛いのが嫌なんだよ。誠司のバカ。鈍感。
「お尻真っ赤になるな。今日の態度は」
一番言われたくない言葉だった。
「今そう言われて、どう思った?」
「どうって?」
「自分の中でなんか考えた浮かんだんじゃないの?」
「浮かんだけど言わない。言ったら怒るもん」
「お尻が真っ赤になると言われて、どう感じた?」
しつこい!
「いやだって思った。お尻痛いのだって嫌なのに、そんなデリカシーの無い表現されて、恥ずかしいし、凄く嫌だった」
むくれてそう一気にまくしたてるように答えた。
「嫌というのを感じて、恥ずかしいと言うのも感じたんだね」
繰り返さなくてもいいのに。
「でも、ごめんなさいはないんだね」
!!
やばい・・・
えっと、えっと
「ごめんなさい」
「言えたのは偉いけど、お仕置きの理由はそれだから。悪いと思ってない反抗的な態度取ってるって事だから」
敵わない。なにもかも。
口も、考えも。そして、私の少し先を考えている様な所も。
凄いなこの人。
かっこいい。お仕置きさえしなければ。
頼もしい。 お仕置きさえしなければ。
「膝においで」
本当に嫌なのに・・・そう言われたら最後。始まった。
またもや、パンツまで下ろされる。
姿勢を何度か崩さないように言われた。
痛さの中で何か我慢して耐えなくてはいけないのは、本当に辛い。
痛くて、体をよじって、逃げ出したくなる。
最初は軽く腰の辺りに手が置かれてるんだけど、私が動くと、段々がっちり力が入り、
そして、最悪な事に、叩く力が強くなる。
痛くなって行くのは、我慢しなさいって言われてるのに、我慢しないで逃げようとした罰らしい。
そんなシステムいらないし!
「や。や。足組まないで」
「足組むと、凄く痛くなるんだもん」
「知ってるよ」
そういって、足を組んでさらに叩いて来る。
ちゃんとしないから。
ちゃんとできないから。
ちゃんと口で言わないから。
何度も、何度も、繰り返され、お尻にも痛みが残って来る。その痛い所を知ってるかのように、
同じ所を目がけて手が振り下ろされる。
本当に、良い性格してるとおもうんだけど、私が段々、痛さが本当に我慢できなくなって、
限界だと思っているのに、その後だいぶ叩いてからしか、解放してくれない。
演技力を身に付けたい位。
痛さの限界を演技できたら、お仕置きだって早くおわるかもしれないのに。
「おおげさにしようと、泣こうと、関係ないから」
「何も言ってないし」
「態度に出てる!」
げ、そうなの・・・。
「誠司さん、もう許して。痛い。限界」
「じゃあ、パドルにする?」
「しない」
「しないっていったのに!やだ。痛い!痛い。痛い。やだ。ごめんなさい」
「ごめんなさい」
「ごめんなさい」
「ごめんなさい」
一体、何回ゴメンナサイをいったのだろう。言いながら、今やっとゴメンナサイを口にした自分に気がついた。
だから、ずーーーっと終わらなかったんだ。
ああ。。。。
「ごめんなさい」
最後のゴメンナサイは心からだったのが通じたのか、それとも、単に私のお尻の限界を察してくれたのかは
分からないけど、終わった。
お尻を冷やしながら、「課題きついのは分かってるんだけど、がんばろーな」
「俺だって、叩きたくって叩いてる訳じゃないし、結構肉体的にハードなんだから」
「じゃあ、しなければ良いのに。お仕置き」
「しないと、気づくのにもっと時間かかるだろ、ななの場合」
「意地っぱりだから、なかなか素直に言う事を聞かない。聞くのは膝のうえで、しかも、ちょろっとだけ」
「違うもん。断じてそんな事ないもん。素直に聞くし、聞いてるもん」
「態度で見せてもらわないと、何といえないな」
勝てない。ほら、結局のところいつものように全部見透かされてた・・・。
~蓮の花~