先週は予定があって、2週間ぶりに誠司さんに会う。

 

最初の数日は、座るとお尻が鈍く痛くって、辛かった。

あった日に、お尻の様子を自分で見てみたら、真っ赤に腫れていて、そのうち腫れは引いたけど、

散々叩かれてお説教されて、その事が嫌で、何もする気にならなかった。

 

今週会うって思うものの、なんだか、漠然と、やる気にならない。

 

そう思っていたら、あっという間に会う日になって、

何の用意も無いまま向かうことになった。正直に何もやる気にならなかったと言って大丈夫だろうか・・・。

 

「こんにちは」

 

「おじゃまします」

 

迎えてくれるのはいつもの感じ。

 

お部屋に入って、ソファの横にあるものを見た瞬間、目をそらす。

何で用意してあるの。

パドルは嫌だって、この間だって、散々嫌だって言ってあるのに。

 

あれ今日も、使うのかな。

 

「緊張してるのは、2週間ぶりだから?」

 

出してもらった、冷たいウーロン茶に口を付ける。喉がからから。だって、パドルが・・・。

 

「パドル、使わないで欲しい」

 

「ん?これ?」

 

「ちゃんと、自分で言えたから、じゃあ、基本は使わない」

 

ほっとした。本当に嫌だったの。怖い。パドルは凄く痛かった。

 

「ただし、必要だったら使う」

 

「必要って、どういう時?」

 

「言う事聞かない時」

 

「ちゃんと聞きます」

 

「そうあって欲しいね。さて、ちゃんと出来るようになってきたのかな?」

 

「人の目気にして、自分で我慢してしまった事、言ってごらん」

「今日は前回も言ったけど、まず、どういう時に人の目を気にしているのかに気付くだけ」

「悪い事だといって、その気づいた事に対してお尻叩いたりしないから、全部言ってごらん」

 

「よく、分からなくって」

「分からなかったら聞いてと言ってあったけど、何で今言うの?それを」

 


「そうだよね」

 

「そうですよ」

 

「サボってた訳だ」

 

「違う」

 

「やりたく無かった?」

 

え?私、やりたくなかったの?そんな風だとは思ってなかったんだけど

 

「自分でもわからない」

 

「分からないじゃないよ。今どう思ってるのか、そのまま言ってごらん」

 

「やりたく無かったとは、思ってなかった」

 

「でも、何も思いつかないんだよね?思いつかない時に何で相談しなかったの?」

 

「相談する程の事じゃないと思ったから」

 

「些細な事も全部話そう。それが練習だからって言ってあったね?」

 

「忘れちゃった?」

 

「そういう意味だと思ってなかったから」

 

「どういう意味だと思ったの?」

 

「困った時は、連絡していいというか」

 

「思いつかないのは、すでに困った事だと思うよ。それに困った事だけじゃなくて、嬉しかった事でもいいから報告するようにと

言ってあったけど?」

 

「お、怒らないで」

 

「怒るでしょ。言われた事してないんだから」

 

「当然、パドル使うから」

 

「や。やだ。ゴメンナサイ。そんなつもりじゃなかったの」

 

「やってる事が全てだから、ちゃんとできないし、やろうともしないし、言いわけばかりだし」

 

「そんな子はどうなると思う?」

 

。・・・

 

 

「なな」

 

「返事しなさい」

 

・・・

 


帰りたい。

 

「自分でやると決めたんでしょ。ななの代わりに、自分自身を見るなんて芸当は僕はできないからね」

 

「わかってる」

 

「やるって決めたのなら、途中で投げださないように、僕は一緒にそばで歩く事はできる」

 

「ただ、お尻をひっぱたいて、歩いてないよと知らせるだけしかできないけどね」

 

「でも、それも嫌なら、止めてもいい。途中でやめる?」

 

「どうする?」

 

「今止めたら、相談してきた時の苦しさの中からは出られないけど、それを選択するのは、人の好みだから、いいとか

悪いとかでは無いよ。やらないと選択しても、僕はその事では怒らない」

 

「どうする?」

 

「泣いて答えを言わないとかは、無し。自分で決めて言ってごらん」

 

「やる」

 

「お尻痛いよ」

 

「痛くても、やる」

 

「膝においで」

 

「始まる前から泣いてるなんて、なさけない」

 

 

「情けない事は、ないよ。なながやろうとしている事は、根気がいることだし、それに向かう事は本当に偉いし、勇気ある事だよ」

 

「自分で無意識にやり過ごそうとしてる気持ちに目を向けるなんで、自分を奮い立たせないと出来ない事だよね。自分自身を正面から見る事は、怖いのわかる。今やってることを否定して、刷新しようとする事だからね」

 

「だから、伴走する」

 

「責任もって、お尻叩いて、泣かす」

 

「泣かさないで」

 

「そうだね。その方がいいね。泣かさないで出来るかはなな次第だな」

 

「痛いのは辛いの」

 

「代わりにやってあげる事は、残念だけどできないからね」

 

「パドル取って」

 

「しないって言った。使わないって言ったのに」

 

「今の発言を見逃すべきか、パドルの回数を追加して、このごに及んでまだ素直に出来ないのならどうなるか、お尻に教えるべきか迷う所だけど、どうする?反抗するなら、叩く回数増やすけど」

 

むすっと、パドルを渡す。

 

「お願いしますは?」

 

最悪・・・

 

 

「聞こえない」

最悪

 

 

 

わかったよ。もう… 

「お願いします」

 

「膝においで。連絡しなかった事。さぼってたのに、言いわけばかり言った事。反抗的だったこと。たっぷりとお仕置きの理由があるな」

 

「僕が良いと判断するまで、膝の上だから覚悟しなさい」

 

やだ。

 

やだ。やだ。 ああああ。嫌なのに。

スカートが捲くられ、当然のようにパンツが下ろされる。

 

怖い。

最初の一打、二打位は我慢できる。

 

どんな痛さだったか、覚えていない。

これ位の痛さの後、本気の痛さが来るのがパターン。

その本気の痛さの、痛みを覚えていなくって、ただ、ただ、最初は我慢しかない。

 

ああ!

 

「痛い!」

 

「い、いや」

 

「いや、いや」

 

「痛い」

 

どれ位の数叩くの?

いち、にい と数えてるのがバカらしくなるほどの痛み。

 

その下の、痛い所。同じ箇所をしつこく叩くの、止めてくれないかな。

どんどん叩かれて、私のペースにちっとも合わなくって、イライラする。

 

ちょっとくらい、手を止めてくれたらいいのに、思い通りにならない。

 

 

「お、お願い、痛い」

「無理」

 

手が止まって、お尻を冷やしてもらう。

 

良かった、パドルはしないんだ。

 

グロッキーになってへたってると、「誰がわるいの?」って言われた。

 

そんな事、お仕置きの間、考えても見なかった。

へ?って感じ。

 

ただ痛かったのから解放されて、ほっとしてた。

 

「まだ、足りないんだね」

 

「少し冷やしたらもう一度膝の上だから」

 

 

「や、なんで?終わりじゃないの?」

 

「終わりじゃないですよ。反省してないからね」

 

バレテル。

 

何もかも。

 

「お尻痛いよ」

 

「もう無理だよ」

 

「無理だったら、反省してるはずなんだけどな。おかしいよね?」

 

・・・

 

へ理屈だと思う。そういうの。

 

 

「さ、そろそろいいかな」

 

タオルをめくって、私のお尻の状態を確認してくる。

押されると痛いし。

 

「それ痛いし、まだ、痛くて無理だし」

 

「膝においで」

 

私の不満は、あっさりと無視され、タオルを下げられてしまった。

 

「パドル、いくつにする?」

 

「ひとつ」

 

流石に、無しとはいかないだろうから、最少単位で申告。

 

「冗談言う程、余裕があるとは、すごいな」

 

その後は、私の悲鳴も、泣き脅しも、一切無視された。

お説教も無く、『動かない』『反省しなさい』っていう事位しか言われなかったと思う。

 

というか、あまりの痛さに、発狂してて、思考が止まって、言い訳なんて出来ないし、

何を言われてるのかも、咀嚼なんて出来なかった。

 

あまりに痛くて、こっちは泣いてるのに、泣きだしたら、パドルをあと10とか言われて、

 

さらに、パドルがおわったら、平手でも叩かれた。

 

そんなに、悪い事だったの?漸く自分が、どんなに、無意識に抵抗していた事の次第に気が付く。

 

お尻をもう一度冷やされて、ふと思った事を口にした。

 

「誠司さん、私、やれないと思ってたけど、自分で頑張って、やってみないといけなかったんだね」

 

「おや。分かったのなら、よかった。分かっても、分からなくても、別にどっちでもよかったんんだけど、

もちろん、分かった方が良い。この先の進みが期待できるからね」

 

「お尻が痛い」

 

「凄く一杯泣いたと思う」

 

「そうだね」

 

「恥ずかしい」

 

「そうだろうね」

 

「お尻叩かれるなんて、嫌な事だもん」

 

「うん」

 

「頑張る事にする」

 

「うん」

 

「やっては、戻り、やっては戻りのはずだから、いつでもお尻叩いてあげるよ」

 

「お尻はいらないもん」

 

ははは。

 

って笑ってくれた。

 

「嫌われたかと思った」

 

「態度がどうことか、やれなかったりとか、色々あるのは想定してるから」

 

「叱ってるのは、嫌いになったとかじゃないよ」

 

「大丈夫。頑張ってるのは分かってる」

 

あ。やばい、泣きそう。

 

頭なでられたら、もう、だめ・・・。